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15日、ウクライナ南部ザポリージャで、ロシア軍の攻撃により損傷した車(AP)
(写真:読売新聞)
【ワルシャワ=上地洋実】ウクライナ軍参謀本部は16日、露軍が15日に30か所以上を攻撃したと明らかにした。ウクライナの国営電力会社によると、キーウ州のエネルギー関連施設も攻撃を受けた。
東・南部では、反転攻勢を続けるウクライナ軍と、占領地維持を狙う露軍の攻防が続いている。南部ヘルソン州当局は16日、露軍が州北部で空爆を行うなど激しい戦闘が続いているとした。ザポリージャ州の知事も16日、露軍が州内2か所の学校を攻撃したとSNSに投稿した。
一方、ベラルーシ国防省は15日、露軍部隊がベラルーシに到着したと発表した。10日にロシアとの合同部隊を編成すると発表していた。
ベラルーシの独立系軍事監視団体「ガユン」は、「合同部隊編成は、ロシアの部分的動員で招集された予備役をベラルーシで訓練するためのカムフラージュの可能性がある」との見方を示した。ロシアでは、教官の人員不足も指摘されている。
また、ガユンは14日、直近の1週間で、ベラルーシ軍からロシア軍に戦車70台近くが引き渡されたとも指摘した。露軍が戦車を多数失ったことが、ウクライナの反転攻勢を許した理由の一つに挙げられており、露軍が外国から戦車を補充している可能性がある。
米紙ニューヨーク・タイムズは14日、米政府の報告書を基に「米欧の制裁がロシアの防衛産業に損害を与え、露軍は兵器の補給が消費に追いついていない」とし、部品不足で戦車などの修理が思うように進んでいないと指摘した。先端技術の輸出制限で精密兵器の製造も打撃を受け、「ロシアの情報機関が米欧の技術を不法に入手するよう命じられている」とも伝えた。