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ウクライナ戦争は一般に“プーチンの戦争”と言われる。しかし、イギリスの報道では、プーチンの側近中の側近、パトルシェフ安全保障会議書記とボルトニコフFSB長官が、去年の夏の終わりにウクライナ侵攻を計画し、それがプーチン氏の考えと合致し、今回の軍事侵攻に繋がったとされる。パトルシェフ氏とボルトニコフ氏は同い年。プーチン氏は1歳下。そして3人ともにKGB出身。つまり、経歴も年齢も思想も似た、狭いコミュニティーの中で戦争は始まったのである。
【写真を見る】表舞台へ出てきた陰の実力者 “プーチンのシェフ”の正体 米中間選挙にも介入か…【報道1930】
そんな“プーチンの戦争”に大きな影響力を持つ別の実力者が、今、注目を集めている。KGB出身でも軍出身でも政治家出身でもない、“プーチンのシェフ”とも呼ばれる男…その正体に迫った。
■「ロシアでは民間軍事会社は違法なんですよ。」
プーチン氏の故郷サンクトペテルブルクに今月、独創的デザインの高層ビルが出現した。その名も“PMCワグネルセンター”。ウクライナ戦争で度々名前を聞くロシアの民間軍事会社『ワグネル』のオフィスビルだ。建物正面には巨大な液晶ビジョンが設置され、ロシア軍を表す“Z”の文字が…。これまで、公然の秘密とされてきた『ワグネル』が、なぜ今、堂々と豪華な本拠地を築いたのだろうか。
東京大学先端科学研究センター 小泉悠 専任講師
「ロシアでは民間軍事会社は違法です。刑法の中に傭兵の罪というのが存在していて、ワグネルのような組織は刑法に抵触するわけです。過去には傭兵業を営んだ罪で逮捕された例もある。それを表立って軍事会社を公言している。びっくりしたのはビルを建てたこと、そして、看板にはっきり“民間軍事会社”と掲げてるいことです。自分たちで違法な存在だと堂々と言ってしまっている。例えば暴力団が“私たち広域指定暴力団です”とは自分たちから言わないし看板に書いたりしません。それに近い大胆な行為です。逆に言えば“ここまでやっても、もう誰もワグネルをつぶせないだろう”という自信があるのでしょう。」
ウクライナに侵攻するロシアにとって、今や欠くことのできない存在だという『ワグネル』は、8年前の2014年に設立。現在、約5000人の傭兵を抱えていると言われ、シリア内戦やリビアなどで活動してきた。このワグネルを作り上げた人物というのは…