デンマーク沖上空で撮影された、天然ガスパイプライン「ノルトストリーム2」から漏れたガス(9月27日)=ロイター
【ロンドン=池田慶太】ロシアと欧州をバルト海経由で結ぶ海底ガスパイプライン「ノルトストリーム」で9月末に発生したガス漏れで、現場海域に近いスウェーデンの治安当局が18日、「破壊工作」が原因と断定して実行犯を捜査中と発表した。強力な爆発を裏付ける事実が、次々判明している。
パイプライン運営会社は11月、海底で深さ3~5メートルの人工的なクレーターを複数発見したと発表した。クレーターに挟まれた区間では、管が激しく破損していた。スウェーデン紙が報じた海中映像でも、管は大破し、鋼管の断面がめくれ上がっていた。ドイツ紙は、主に軍が使用する「TNT爆弾」が用いられた可能性を報じている。
パイプラインは直径115センチの鋼鉄製で、外側をコンクリートで覆われていたものの、目の届きにくい海底で「無防備」な状態が狙われた。
ウクライナ侵略が続く中、破壊工作の背後には欧米と対立するロシアの影がちらつく。安全保障問題に詳しいコペンハーゲン大学のクリスチャン・ブーガー教授は、2001年の米同時テロに匹敵する衝撃だとの認識を示し、「海底世界の9・11が起きた」と話した。