首相、改憲議論に臨む姿勢 争点化で停滞打開図る


通常国会閉会後に記者会見する安倍晋三首相=26日午後4時6分、首相官邸(代表撮影)

 安倍晋三首相(自民党総裁)が憲法改正に関し、26日の記者会見で訴えたのは「改憲の是非」ではなく、「改憲議論に臨む姿勢の是非」である。今国会は憲法審査会の議論が衆参通じて1度、2時間程度行われただけで幕を閉じた。首相は、議論を阻む立憲民主党などの姿勢を参院選で争点化し勝利することで、秋の臨時国会で停滞打開を図りたい考えだ。(田中一世)

 首相は記者会見で、立憲民主党と共産党の名前を挙げて「一部の野党が(憲法審の)審議に出席しない。本当にこれで良いのか」と批判した。さらに参院選について「憲法の議論すらしない政党を選ぶのか。国民に考えを示し、議論を進めていく政党を選ぶのか。それを決めていただく選挙だ」と強調した。

 首相が改憲について、国政選挙を前にこれほど強い表現で訴えるのは異例だ。それは、与党と日本維新の会など「改憲勢力」が改憲の国会発議に必要な3分の2の議席を衆参両院で得ているにもかかわらず、議論が全く進まない現状への危機感の裏返しでもある。

 改憲議論が停滞している最大の原因は、憲法審の与野党幹事が合意した日程に立憲民主党の枝野幸男代表が許可を出さないからだ。これは与野党幹事で認識が一致している。自民党内では枝野氏に引きずられていると不満の声も出ているが、「あえて枝野氏にお付き合いする」(党幹部)という道を選んだ。

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