ロシアのクドリン前会計検査院長官=モスクワで2018年11月、ロイター
ロシア上院は11月30日、辞意を表明していたクドリン会計検査院長官(62)の退任を承認した。クドリン氏はプーチン大統領に近く、リベラル派の重鎮とみなされてきた。国内の大手ネット企業に転出するとみられているが、2024年の大統領選に出馬する可能性も取り沙汰されており、動向が注目されている。
ロシア第2の都市サンクトペテルブルク出身のクドリン氏は、同市副市長を務めていたプーチン氏と懇意にしてきた。プーチン氏が大統領に就任した00年から財務相を務め、財政健全化などを推進。11年に当時のメドベージェフ大統領と衝突し、財務相を辞したが、18年に会計検査院長官として政権に復帰していた。
クドリン氏は今後、インターネット検索大手「ヤンデックス」の幹部に転身するとみられている。「ロシア版グーグル」とも呼ばれてきたヤンデックスだが、ロシアによるウクライナ侵攻の影響を受け、株価の下落などに見舞われている。一部事業の売却や主要な国際事業の切り離しを承認するように政府に求めており、その流れからクドリン氏を迎え入れたい狙いのようだ。
ロシアのオンラインメディアなどは、クドリン氏が今後、ビジネス界の声を代弁する形で24年の大統領選に出馬する可能性があるとも報じている。今年10月に70歳を迎えたプーチン氏は次期大統領選の出馬について言及していない。【大前仁】