エジプトと韓国がT-50/FA-50の現地製造契約を締結、調達規模は約100機

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英国のジェーンズは18日「エジプトが韓国航空宇宙産業(KAI)とT-50/FA-50の現地製造に関する契約を締結した」と報じており、エジプトメディアも「調達規模は約100機で内70機を国内で製造する予定だ」と報じている。

韓国防衛産業界にとって欧州進出のパートナーがポーランドなら、MENA地域進出のパートナーはエジプト

エジプトと中国は1999年にジェット練習機「K-8E」の輸出契約を締結、2010年までにライセンス生産で計120機(初期発注80機+追加発注40機)調達を完了したが、エジプト空軍は老朽化したアルファジェットの更新や新機材(ラファール、中途半端の導入に終わったSu-35、導入が噂されているタイフーンなど)に対応する高度な練習機=K-8Eの後継機を必要としており、韓国のT-50/FA-50、インドのLCA-LIFT、イタリアのM-346、ロシアのYak-130、中国のL-15、チェコのL-39NG Aeroが入札に参加。

エジプトと韓国がT-50/FA-50の現地製造契約を締結、調達規模は約100機

出典:Oren Rozen/CC BY-SA 3.0 K-8E

昨年末に国営企業のアラブ工業化機構(AOI)が「韓国側とT-50/FA-50の現地製造で合意して協定に署名した」と発表していたが、英国のジェーンズは18日「エジプトが韓国航空宇宙産業(KAI)とT-50/FA-50の現地製造に関する契約を締結した」と報じており、エジプトメディアも「調達規模は約100機で内70機を国内で製造する予定だ」と報じている。

AOIは16日に発表した声明の中で「軍のニーズを満たす先進的な練習用航空機の製造を現地化し、(エジプトで製造したT-50/FA-50を)アフリカや中東の国々にも輸出することを目指している」と述べているので、エジプトが現地製造するK9のエジプト陸軍仕様K9A1EGYと同じ手法を採用するのだろう。

エジプトと韓国がT-50/FA-50の現地製造契約を締結、調達規模は約100機

出典:Hanwha Defense

エジプトと韓国が昨年締結した16.5億ドルの契約にはK9のエジプト陸軍仕様K9A1EGY、弾薬補給車輌K10、エジプト陸軍の要望で開発されるK10ベースの射撃統制車輌K11の現地製造が含まれ、モルシー軍需生産相は「エジプトが製造するK9は自国軍のニーズを満たすだけでなく中東・アフリカ諸国へ輸出を望んでおり、世界で最も新しい自走砲システムを入手したいと考える中東諸国やアフリカ諸国と既に2ヶ国間交渉を始めている」と言及していた。

つまりAOIによるT-50/FA-50の現地生産は「エジプト空軍向けの100機」と「アフリカや中東の国への輸出」をカバーしたものになり、韓国防衛産業界にとって欧州進出のパートナーがポーランドなら、MENA地域(北アフリカ・中東)進出のパートナーはエジプトになるという意味だ。

エジプトと韓国がT-50/FA-50の現地製造契約を締結、調達規模は約100機

出典:KrzywoProsto/CC BY 3.0

因みにジェーンズは韓国メディアの報道を引用して「T-50/FA-50はF-16との互換性が高いので競合するM-346やL-15などより優位な立場にある」と紹介しており、FA-50を導入を決めたポーランドの国防相も「韓国のFA-50はF-16をベースにした小型のマルチロール機であり、空軍がもつF-16のインフラとシームレスに統合でき保有する装備類と完全な相互運用性を備えている。特にFA-50の運用コストはF-16より何倍も安く訓練効率も非常に高い。残念ながら導入したM-346は訓練効率が悪すぎる」と言及していたことがある。

これまで海外市場で「入手可能」な西側製ジェット訓練機と言えばM-346(120機以上)だったが、既に受注数でT-50/FA-50(エジプトからの推定受注を含めると350機以上)が上回っており、T-7Aが海外市場に参入してきても「技術移転」「現地生産」「Phantom Strik統合によるマルチロール化」を武器に今後も独自の地位を確保するのだろう。

おまけ

韓国航空宇宙産業(KAI)は防衛産業界の関係者やメディアを招待して「Global KAI 2050 Beyond Aerospace(2025年までの開発ビジョン)」を披露、これについてAviacionline Defensaで編集長を務めるのガストン・デュボア氏は「KAIがFA-50の単座バージョン=F-50の開発に言及した」と明かしており、もう一つのサプライズは「(韓国)政府調達への依存を減らして海外輸出に重点を置くという戦略の発表だ」と述べている。

KAIは「ポーランドでの成功」と「急激に変化した安全保障環境への迅速な対応力」で欧州市場の可能性を確認、さらにエアバスD&Sが協力拡大のため「FA-50の欧州輸出を共同推進したい」と韓国の産業通商資源部に提案(デュボア氏はエアバスD&SのAFJT計画を葬り去った指摘している)したことでKAIの確認した可能性は更に自信が深まり、欧州、北米、アフリカ、中東で橋頭堡を築くきながら東南アジアと南米での存在感も強化していたいと考えているらしい。

エジプトと韓国がT-50/FA-50の現地製造契約を締結、調達規模は約100機

出典:KAI ポーランド向けのFA-50PL

ただデュボア氏は「政府調達への依存を減らして海外輸出に重点を置くKAIの戦略=FA-50への今後の投資が、潜在的な顧客からの資金供給に依存するのか、KAIの自社資金で賄われるのかは明かされていない」と指摘しているものの「FA-50の将来には可能性が広がっている」とも主張しているのが興味深い点だ。

デュボア氏は「まだ世界中で運用されているMiG-21、F-5、A-37、A-4、アルファジェット、L-39といった旧式機はFA-50に800機~1,000機の潜在的な市場を生み出す可能性がある」と指摘、さらにFA-50を導入した顧客は全て「KF-21を含む韓国製防衛装備品の潜在的な顧客」で、最終的にはボーイングやエアバスと競合してくるだろうと予想している。

エジプトと韓国がT-50/FA-50の現地製造契約を締結、調達規模は約100機

出典:KAI

KAIには今後何十年にも渡り「販売したT-50/FA-50から保守やアップグレードに関わる資金(イラクはT-50IQのサポート契約を3年3.6億ドル/約400億円で更新)」が流れ込む予定で、こういった資金を輸出向けのFA-50開発に投資して拡大を目指すつもりなのかもしれないが、航空分野でボーイングやエアバスと競合すると評価される企業がアジアから登場するとは思ってみなかったので非常にポジティブな兆候と言えるだろう。

因みに「韓国とUAEが多目的輸送機の共同開発で合意した」というニュースは海外のディフェンスメディアでも大きく取り上げており、韓国航空宇宙産業が開発を進めている「MC-X=双発の軍用輸送機のことで川崎のC-2とエンブラエルのC-390/KC-390の中間サイズ」との関連を指摘している。

エジプトと韓国がT-50/FA-50の現地製造で合意、アラブ工業化機構が協定に署名
K9を製造するエジプト、中東・アフリカ諸国への輸出交渉を開始

 

※アイキャッチ画像の出典:KAI 한국항공우주산업

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