ナゴルノ・カラバフ地域のアルメニア系住民、9万人以上が脱出

ナゴルノ・カラバフ地域に住むアルメニア系住民の脱出が急速に進んでいます。アルツァフ共和国が2024年1月1日までに消滅することが確定し、その影響でアルメニア系住民の脱出も増加しています。アルメニアの首相報道官によれば、「29日午後4時時点で93,000人の住民がアルメニアに入国した」とのことです。

異例の出来事:異なる民族が短期間で入れ替わる

第三次ナゴルノ・カラバフ戦争で、アルツァフ共和国はアゼルバイジャン軍の攻撃に耐え切れず、停戦案を受け入れました。ロシア平和維持軍の監視の下、アルツァフ共和国軍は武器や陣地を引き渡しています。アルツァフ共和国のシャフラマニャン大統領は28日、「2024年1月1日までに全ての国家機関及び組織を解散して、アルツァフ共和国が消滅する」と発表しました。

出典:Google Map 管理人作成(クリックで拡大可能)
(出典:Google Map 管理人作成)

アルメニアに逃れたアルメニア系住民は28日午後6時時点で74,400人に達し、パシニャン首相は「数日以内にナゴルノ・カラバフ地域のアルメニア人はいなくなるだろう」と述べました。しかし、アルメニアの首相報道官によれば、29日の午後4時時点で入国した住民の数は93,000人に上りました。ナゴルノ・カラバフ地域の人口は約16万人と推定されており、その約60%が故郷を離れたことになります。

報道官は29日の会見で、「アルツァフから避難した人々が」と語った後、「ナゴルノ・カラバフ地域」と訂正し、「アルツァフ発言」を謝罪しました。これにより、アルメニアは「ナゴルノ・カラバフ地域がアゼルバイジャン領の一部であり、アルツァフ共和国が違法な存在だったため、『ナゴルノ・カラバフ民族』という概念は存在しない。したがって、『民族自決に基づいて独立した』という主張は成立しない」と認めていることが示されました。

出典:ՀՀ կառավարություն
(出典:ՀՀ կառավարություն)

特定地域に住む民族が短期間で入れ替わる稀な出来事に

アゼルバイジャン側はナゴルノ・カラバフ地域のアルメニア系住民に対して「権利と安全を保証するので逃げ出す必要はない」と主張しています。しかし、ドイツ外務省は「実質的にナゴルノ・カラバフ地域は非アルメニア化される可能性が高い」と予想し、我々は間もなく「特定地域に住む民族が短期間で入れ替わる」という稀な出来事を目撃することになるでしょう。

アルツァフ共和国の消滅が確定し、アルメニアに逃れた住民はすでに9万人を突破しています。アルメニア系住民の脱出は加速し、わずか3日間で50,243人もの人々がアルメニアに逃れるという状況です。一方、ナゴルノ・カラバフ地域では住民の脱出が進んでいる一方で、アルメニアでは政府への抗議活動が本格化しています。アルメニアとアゼルバイジャンの首脳会談も発表され、和平協定の行方が注目されています。

この南コーカサス地域では緊張が高まっており、イラン大統領は「いかなる変化も容認しない」との立場を示しています。さらに、イランはアゼルバイジャンとの国境で大規模な軍事演習を行う予定であり、焦点はザンゲズール回廊に置かれています。

※アイキャッチ画像の出典:ՀՀ կառավարություն

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ソースリンク: https://grandfleet.info/european-region/more-than-90000-ethnic-armenians-flee-nagorno-karabakh-region/