IMFは3月7日、デフォルトに陥ったスリランカに対する29億ドル(約3,900億円)の金融支援について正式に検討すると発表した。3月20日の理事会で承認される見通し。中国など主要な債権国から協力の保証を得られたのが背景だ。
スリランカでは債務再編を巡っては日本やインド政府の方針の他に、G20の財務相・中央銀行総裁会議でも議論の焦点となっていた。2022年5月にデフォルトに陥るのに前後し、同国内では政府に対する激しい抗議活動が繰り広げられた。
スリランカのウィクラマシンハ大統領は3月7日の議会で「中国の輸出入銀行から新たな支援を約束された」と話した。それによりIMF支援の承認への道が開けたという。
これに先立ち米国のイエレン財務長官がスリランカ大統領と電話会談を実施し、中国が債務減免に消極的なことから交渉が難航しているとの報道が出ていた。今回の承認がなされるのであれば、中国側が債務の減免を受け入れたことになる。減免の規模は不明だが、IMFの支援3,900億円よりも安いならば結局中国が得することになるだろう。(黒井)
IMF、スリランカ29億ドル支援承認へ 中国など支持(日経新聞)
2023年3月8日 2:58
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGM07DQB0X00C23A3000000/
昨年デフォルトした新興国の一つ目がスリランカ。債務再編について、日本にも要請があったようで、漸く整理の方向が見えてきたとすれば良いこと、である。中国が自由奔放な資金の出し方をし、足並みが揃わないことがいつもネックになる中、方向性が見えたことで、これからの流れも作れればいい。債務再編の際に、中国だけが債権回収をする可能性があることをどう整理・制御して、新興国への資金援助とできるか。新興国のリスクは今年も続いている。米国金利上昇、中国景気低迷に加えての物価高。これらがまだ残っている以上、新興国リスクをどうコントロールできるか、先進国側の英知を見せて欲しいもの。