日本政府は予算増額で防衛産業界の活性化を期待、企業側は投資拡大に消極的

[ad_1]

岸田政権は今後5年間の防衛費を現行2.5倍に相当する43兆5,000億円に増額すると閣議決定したが、ロイターは「日本は軍備拡張のため防衛産業界の活性化を望んでいるが、主要な企業は防衛部門の投資拡大に消極的だ」と報じている。

日本企業が本当に心配しているのは「民需部門に対するイメージの毀損」と「5年後も安定した受注が確保できるのか保証がない」という点

欧米諸国の防衛産業界は各国が増額する国防予算に対応して設備投資や雇用の拡大に乗り出しているが、今後5年間で43兆5,000億円の国防支出が決まった日本では様子が異なり、ロイターは「日本は軍備拡張のため防衛産業界の活性化を望んでいるものの、防衛産業に関わる主要な日本企業は防衛部門の投資拡大に消極的だ」と報じている。

日本政府は予算増額で防衛産業界の活性化を期待、企業側は投資拡大に消極的

出典:航空自衛隊

日本政府は縮小が続く防衛産業界を活性化させるため「2%~3%と言われる営業利益を補填する仕組み(コスト、品質、納期管理で成果を出した企業にポイントを付与して営業利益に最大15%上乗せ)」や「生産ラインの国有化」などを盛り込んだ法案を準備しているものの、日本企業が本当に心配しているのは「民需部門に対するイメージの毀損」と「5年後も安定した受注が確保できるのか保証がない」という点で、元防衛大臣政務官を務めた佐藤正久議員は「これまで防衛省は防衛産業企業の協力を当たり前のものだと思っていた」と指摘。

日本にはロッキード・マーティンやBAEのような安全保障分野に特化した企業はなく、三菱重工業もダイキンもスバルも売上の大半は防衛部門ではなく民需部門が稼ぎ出しており、佐藤議員はロイターの取材に「日本の経営者は収益性の高い民需部門に注力する株主に対し『愛国的な義務』という理由だけで防衛部門の事業を正当化できなくなってきた」と述べ、防衛部門への投資拡大は国内の反戦感情、中国おける戦時中の記憶と怒りを買うことに利用され「顧客を遠ざける要因になる」と恐れているのだ。

日本政府は予算増額で防衛産業界の活性化を期待、企業側は投資拡大に消極的

出典:陸上自衛隊

外交的な緊張にも関わらず中国は日本にとって最大の貿易相手で、多くの日本企業にとって主要な製造拠点であり、匿名を希望したある日本の防衛産業企業は「(防衛部門の話題は)風評被害を招くのが最も心配されるリスクで、中国の顧客はこの話題が出ると不快感を示したことがある」と述べている。

日本政府は武器輸出や共同開発を厳しく制限してきた方針を2014年に変更して「防衛装備移転三原則」を閣議決定したが、あるアナリストは「企業の臆病さと官僚の過剰な警戒心から、日本は防衛産業の活性化に失敗した」と指摘しており、フィリピンに対する防衛装備品の輸出に唯一成功した三菱電機だけは政府の防衛費増額や防衛産業界を活性化する提案を歓迎し「日本の安全保障に貢献することが有益だと信じている」と語った。

日本政府は予算増額で防衛産業界の活性化を期待、企業側は投資拡大に消極的

出典:J/FPS-3警戒監視レーダー 防衛省

しかし「最大の懸念は43兆5,000億円の支出が終わる5年後で、防衛部門に投資して生産設備や雇用を増やしても(5年後に国防支出が削減されれば)財務リスクになる」と述べており、これが内需に頼る日本の防衛産業の限界なのだろう。

派手な防衛部門への投資拡大は売上の大半を稼ぐ民需部門のイメージを毀損し、輸出先の中国で不評を買えば売上が下がり、5年間の国防支出だけを頼りに投資を拡大して財務リスクを抱えれば株主から突き上げを食らい、海外輸出は依然として日本企業にはハードルが高く、もう期待できる打開策が見当たらないというしかない。

フィリピンが日本製警戒管制レーダー「J/FPS-3ME」を導入
日本政府、企業に任せきりだった防衛装備品の海外輸出を国主導に変更

 

※アイキャッチ画像の出典:防衛装備庁

[ad_2]

Source link