カナダ海軍は最大12隻の新型潜水艦を調達したい、乗組員はどうするの?

[ad_1]

カナダ海軍は政府に「最大12隻の新型潜水艦を調達したい」と働きかけているらしいのだが、政府の内部文書によれば「新型潜水艦の調達には最低でも15年はかかる見込みで、採用する調達戦略によっては25年かかる可能性がある」と指摘している。

乗組員育成に苦労しているのは潜水艦が海よりもドックに入渠している時間が長いからだが、、、

カナダ海軍の新型潜水艦を語るにはヴィクトリア級潜水艦(旧アップホルダー級潜水艦)の顛末を知っておく必要があり、冷戦時代に再建した潜水艦部隊の次期潜水艦=バラオ級やオベロン級の後継艦を探していたカナダは英海軍から退役した4隻のアップホルダー級を7.1億ドルで手に入れ「掘り出し物だった」と国民に喧伝したが、この4隻は売却先が見つかるまで完全に放置(約4年間)されていたため極めて状態が悪く、内1隻が移送中の事故で大きなダメージを受けてしまう。

カナダ海軍は最大12隻の新型潜水艦を調達したい、乗組員はどうするの?

出典:カナダ国防省 4番艦シクーティミ(旧アップホルダー級潜水艦1番艦)

はるばる英国から移送されてきた潜水艦を調査したところ1番艦の船体には謎の凹みが見つかり、4番艦は移送中の事故(海水の流入と船内火災)で艦内がボロボロだったのだが、カナダ海軍は手に入れたアップホルダー級を見放さず、9年の歳月をかけて4隻全てを海に戻すことに成功した。

ただヴィクトリア級として就役した4隻の運用実績は散々で、艦内の電力システムが吹き飛んで6年もドック入りしたり、耐圧殻の腐食や船体の溶接不良で5年もドック入りしたり、エンジン不調やバッテリーの問題で緊急寄港を繰り返したり、艦内の鉛濃度が急上昇する不具合に悩まされたり、バンクーバー島沖で海底に激突したり、オルカ級巡視船に衝突されたり、もう「気がつけばドックに入渠している」と揶揄されることが多く、最も運用実績が酷いのは海底に激突した3番艦コーナー・ブルックだろう。

YouTube video

2003年に就役したコーナー・ブルックは2011年にバンクーバー島沖で45mの海底に5.8ノットのスピードで激突、この衝撃で船首には約2mの大穴があいて耐圧殻も修復不可能なほど損傷したが、カナダ海軍のヴィクトリア級に対する愛は凄まじく「2014年から3年の歳月をかけて修理する」と発表、この作業中にメインバラストタンクが破裂したため全ての修理が終わったのは2022年で、昨年10月にテスト航海を実施したが任務への復帰は依然として未定だ。

現地メディアは「2017年から2023年3月まで海軍は潜水艦のメンテナンスに19億ドルを費やしたが、コーナー・ブルックを除く3隻が同期間(7年×3隻=7665日)に海で活動したのは529日に過ぎず、2019年と2020年に海軍は潜水艦を1日も運用していない」と指摘している。

カナダ海軍は最大12隻の新型潜水艦を調達したい、乗組員はどうするの?

出典:public domain ヴィクトリア級潜水艦

ここからが今回の本題なのだが、カナダ海軍は政府に「最大12隻の新型潜水艦を調達したい」と働きかけ、野党の保守党も海軍の提案を支持しているものの、政府の内部文書によれば「新型潜水艦の調達には最低でも15年はかかる見込みで、採用する調達戦略によっては25年かかる可能性がある」と指摘し、現地メディアは「新型潜水艦の調達には600億カナダドルの値札がついているが、軍の調達プログラムが予算内に収まったことはないので値札は1,000億カナダドルになるかもいしれない」と報じているのが興味深い。

さらに現地メディアは「海軍が新型潜水艦を調達するためには2つ課題を乗り越えなければならない」と指摘しており、1つ目は「4隻分の乗組員育成に苦労している海軍が12隻分の乗組員を確保できるのか?」という点で、2つ目は「基本的な生活必需品がインフレで高騰しているのに12隻の新型潜水艦に資金を投資するよう政府を説得できるのか?」と点だ。

カナダ海軍は最大12隻の新型潜水艦を調達したい、乗組員はどうするの?

出典:カナダ海軍

乗組員育成に苦労しているのは潜水艦が海よりもドックに入渠している時間が長いからだが、カナダ海軍が進めている次期フリゲートのプログラムコストは250億カナダドルから800億カナダドル以上に上昇しており、現政権が高価な新型潜水艦の調達を決断できるかは微妙としか言いようがない。

トルドー政権としては「次期海上哨戒機でも火種が燻っているので問題をこれ以上抱えたくない」と考えても不思議ではなく、仮に調達しても取得までの期間が長すぎるのでプログラムコストの現在の見積もりよりも高騰するは避けられないだろう。

カナダが競争入札をスキップしてP-8A調達を示唆、要求要件に適合する唯一の機種
カナダ海軍がSPY-7供給契約を締結、トマホーク搭載の次期フリゲート発表
入札になれば争奪戦は必至、カナダ国防省が次期潜水艦調達に向けて動く

 

※アイキャッチ画像の出典:カナダ海軍

[ad_2]

Source link