ウクライナ軍のA2ADが機能しなくなる?BukとS300の迎撃弾がまもなく枯渇か

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流出したウクライナ軍の反攻準備や戦況に関する機密資料には防空システムに関する資料も混ざっており、高度6,000mまでの防空を担うBukとS300の迎撃弾(2月時点での残数は113発と421発)が「5月までに尽きる」と予想している。

ウクライナ軍のA2ADは規模が限定的になるか完全に機能しなくなる恐れがある

米Politicoのララ・セリグマン氏は7日、ウクライナ軍の反攻準備や戦況に関する機密資料の流出について「政府高官は『かなり加工されている』ものの統合参謀本部が作成した本物だと認めた」と明かしており、英国のBellingcatも「最初にDiscordへ投稿された機密資料はオリジナルで、これを編集(主にロシア軍の損害に関する部分)したものがTelegramに投稿されて拡散した」と指摘、米メディアは「この資料の一部はウクライナ、NATO加盟国+フィンランド、ファイブ・アイズのオーストラリアとニュージーランドに配布された」と報じている。

流出した機密資料の中にはウクライナ軍の防空システムに関する資料(Consolidated UAF Air Defense)も混ざっており、これがオリジナルなのか編集されたものなのかは不明だが中々興味深い内容だ。

この資料は2月23日に作成されたもので、ウクライナの防空に関する現状分析、ロシア軍がもたらすリスク、これに対応するための行動方針が書かれており、高度6,000mまでをカバーする防空システムの89%はSA-11(Buk/50基/迎撃弾の在庫は113発)とSA-10(S300/38基/迎撃弾の在庫は421発)で構成され、SA-11は月69発、SA-10は月180発使用されるため「2023年3月までにSA-11の迎撃弾が完全に枯渇し、2023年5月までにSA-10の迎撃弾が完全に枯渇する」と指摘。

ウクライナ軍のA2ADが機能しなくなる?BukとS300の迎撃弾がまもなく枯渇か

出典:Ministry of Defense of Ukraine/CC BY-SA 2.0 SA-3

ウクライナ軍に残されるSA-3(S-125/2基/698発)、SA-12(S300V/3基/55発)、NASAM(2基/107発)、IRIS-TSL(1基/6発)などが使用する迎撃弾の在庫も限定的で、もう厳選された資産しか守ることができない=ロシア軍の空からの攻撃ボリュームに対応できなくなると警告、短距離の低空域をカバーするスティンガー、アベンジャー、ゲパード、クロタルは地対空ミサイルの使用削減に貢献するものの、前線や重要なインフラに対する攻撃への抑止効果は低く、ウクライナ軍のA2ADは「規模が限定的になるか完全に機能しなくなる恐れがある」と警告している。

A2ADが限定的もしくは機能しなくなるとロシア軍機の作戦範囲や自由度は大きく改善され「安価な無誘導爆弾の使用」が増加、巡航ミサイルも地形に沿った低空飛行が必要なくなり「射程」「命中精度」「生存性」が向上、空挺作戦や航空機を使用した補給が可能になり、ロシア軍機の活動が活発化するとウクライナ軍機の攻撃・支援・補給が減少、大規模な地上戦力を運用するのが困難になると予想(前線上空、重要なインフラ、反攻部隊の全てを保護のは困難なので選択が必要)しているのが興味深い。

ウクライナ軍のA2ADが機能しなくなる?BukとS300の迎撃弾がまもなく枯渇か

出典:VoidWanderer/CC BY-SA 4.0 Buk-M1

これに対応する行動方針は3つに分かれており、短期的(3ヶ月以内)には同国国やパートナー国からSA-11とSA-10の迎撃弾を調達、少しでも迎撃弾を節約するためSA-11とSA-10の使用は戦術機との交戦に限定、中期的(6ヶ月以内)にはNASAM、IRIS-TSL、ホークなどを供給、FrankenSAMと命名されたプログラムの促進、非活性化された地対空ミサイルの修理デポを開設、長期的(9ヶ月以内)にはNATO規格の防空システムや統合されたデジタル防空ソリューションを提供していく。

この資料にはウクライナ軍が保有する防空システムの数、各迎撃弾の残数、月あたりの発射数、西側諸国が提供を約束しているシステムの数や到着予定日などが記載されており、ウクライナに供給されるパトリオットシステムはGEM-TとPAC-3で、米国が1,600発以上も提供したスティンガーは188発(現在の発射量は月25発)しか残っていない。

ウクライナ軍のA2ADが機能しなくなる?BukとS300の迎撃弾がまもなく枯渇か

出典:出典:vk経由 流出したと思われる機密資料(一応ぼかしています)

因みに資料にはSA-11、SA-10/SA-12、NASAM、IRIS-TSLが何処に配備され、どのエリアをカバーしているかも記載されており、SA-11とSA-10の迎撃弾が枯渇する5月以降はSA-12、NASAM、IRIS-TSL、パトリオットがキーウのみをカバーし、黒海からキーウやリヴィウに向けて発射される巡航ミサイルの飛行経路上にSA-12が2ヶ所配備されると予測している。

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※アイキャッチ画像の出典:VoidWanderer/CC BY-SA 4.0

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