第25回参院選は4日公示され、21日の投開票に向け選挙戦に突入する。与野党7党首らは公示前日の3日、日本記者クラブ主催の討論会に臨み、年金や外交安全保障、憲法改正をめぐり論戦を交わした。安倍晋三首相(自民党総裁)は10月に税率10%に引き上げる消費税について「安倍政権でこれ以上引き上げることは全く考えていない」と明言。「今後10年ぐらいの間、上げる必要はないと思っている」とも述べた。
立憲民主党の枝野幸男代表は、平成24年の旧民主党政権下で、自民、公明、民主の3党が消費税率10%までの増税と社会保障の一体改革で合意したことに言及し、「間違っていた。消費不況が続いている間は上げられない」と訴えた。
首相は憲法9条への自衛隊明記について「自衛隊の存在を明確に憲法に位置付けるのは防衛の根本だ」と改めて意欲を示した。公明党の山口那津男代表は国会の憲法審査会で議論が進まない現状について「与野党を超えて議論を深めて国民の認識を深めることが大事だ」と指摘。国民民主党の玉木雄一郎代表は「家計を豊かにして消費を活性化させる新しい経済政策を打ち出す」と述べた。
首相は北朝鮮による日本人拉致問題解決に関して「あらゆるチャンスを逃さない思いで解決に当たっていきたい」と改めて表明。中国の習近平国家主席を通じて北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長に首相の考えを伝えたことも明かした。