猿之助を巡る交友関係
歌舞伎俳優の市川猿之助(47)の都内にある自宅で18日、本人と両親が倒れているのが見つかった。猿之助は自殺を図ったとみられ、両親は死亡が確認された。このショッキングな出来事には2つの謎がある。責任感が強いとされる猿之助が、なぜ座長公演中に周囲に迷惑が掛かるような行動を取ったのか。そして、なぜ両親だけが死亡したのか。真相を追った。
【図表】猿之助はクローゼットの中で…自宅で発見された時の様子
「歌舞伎界屈指の天才肌」(歌舞伎関係者)と言われる猿之助。その人柄について関係者は「その分、感情の起伏が激しい人だった」と語り「突然怒り出すこともあるので周囲は気を使っていた」という。
ただ、それは人一倍、芸に対する責任感が強いがための感情の爆発だった。一門に限らず共演者や弟子への指導は厳しいことで有名で「猿之助さんの稽古は緊張感がある。天才肌ゆえに“なぜできないんだ”という思いや“早く一人前の俳優になってほしい”という愛も込められているのですが、時に強い言葉になることもありました」(一門筋)と明かした。
一方で公演が終わると、自ら音頭を取って共演者やスタッフと宴会することも多く、後輩の悩みを真剣に聞く面倒見のいい一面もあった。ただ酒が入り盛り上がってくると「スキンシップが激しくなった」(歌舞伎関係者)との証言もある。
俳優としての実力は唯一無二。故蜷川幸雄さんらの舞台やNHK大河ドラマ「風林火山」やTBSの大ヒットドラマ「半沢直樹」の出演など歌舞伎以外でも活躍していた。新作歌舞伎や自主公演にも次々と挑戦し「歌舞伎界の革命児」とも称された。
自身が演出を手がけ主演を務めた「スーパー歌舞伎2 ワンピース」では舞台中に大ケガを負って、やむなく降板したことも。それでも、その3カ月後に行われた松本幸四郎襲名披露公演では左手をかばいながら舞台復帰を果たした。
だからこそ松竹関係者は「まさか猿之助さんが、舞台に穴をあけるような行動を取るなんて」と驚きを隠せない。ここ最近は自分が歌舞伎界を引っ張っていくことへの責任感が今まで以上に大きくなっていた。「誰にも言えない重圧を抱え、このような結果になってしまったとしたら大変残念」と肩を落とした。
《周囲の歌舞伎俳優らは沈黙貫く》
猿之助の救急搬送や段四郎さんの死去が報じられたこの日、周囲の歌舞伎俳優らは沈黙を貫いた。これまでほぼ毎日ブログを更新し続けてきた坂東彌十郎(67)は「すみません 暫(しばら)くの間 ブログをお休みします」と投稿し、ブログの休止を発表した。猿之助とは多くの舞台やNHK大河ドラマ「鎌倉殿の13人」で共演していた。また1日に何本もブログを投稿することで知られる市川團十郎(45)も、事件が報じられた直後の午前11時35分から更新を停止している。
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