原爆慰霊碑に献花する岸田文雄首相(手前から8人目)と招待国首脳、国際機関の長=広島市中区で2023年5月21日(外務省提供)
ノーベル平和賞を受賞した「核兵器廃絶国際キャンペーン(ICAN)」の事務局長代行、ダニエル・ホグスタ氏は21日、広島市内で記者会見し、「広島がG7サミットの会場に選ばれたことは、ICANとしては歓待したいと思っていた。しかし、結果については大変失望している」と述べた。核軍縮を巡る首脳声明「広島ビジョン」について「核兵器禁止条約のような核軍縮を動かす具体的で明確な計画について提示できていない。G7首脳は自らの行動を省み、核禁条約の第2回締約国会議に参加してほしい。その中でも特別な役割がある日本の政府には、ぜひオブザーバー参加してほしい」と求めた。
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同席したICAN国際委員で、NGO「ピースボート」共同代表の川崎哲(あきら)氏は、「(広島ビジョンは)核兵器の威嚇や使用への非難をロシアの問題に矮小(わいしょう)化している。本来は全ての保有国の課題だという認識がなく、自分たちの核兵器は抑止目的だと正当化している。平和を目指しているふりをするために広島が使われたと言わざるを得ない」と厳しい評価をした。サミットの広島開催を決めた岸田文雄首相に対しても「核兵器のない世界という理想を言うなら、現実を変えるための行動計画が必要だ。政治的な決断と行動を取ることを放棄している」と批判した。【森口沙織、山本尚美】