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事件現場となった自宅居間で、男が押し入った際に破れたカーテンを見つめる市川さん。気持ちの整理がつかず、遺品なども運び出せずにいる(16日、坂城町で)
何の落ち度もなく家族を殺害された上、経済的にも苦境に立たされる「二重の苦しみ」の中で生きていかなければならないのか――。長野県坂城町の銃撃事件から26日で3年。突然自宅に押し入った男に子ども2人の命を奪われ、今後住むことのない自宅のローンも抱える市川武範さん(58)は、犯罪被害者への経済的支援の充実を求めている。(岡部哲也)
【写真】殺害された直人さんのために、高校から両親に贈られた卒業証書
今年3月4日、市川さんと妻の姿は、県内のある高校にあった。真新しい制服に身を包み、殺害されるまでの約1か月半、直人さんが通った学校。生きていれば卒業式の日だった。学校側の配慮で、在校生の下校後、直人さんの卒業証書と色紙を受け取った。
「直人、皆と一緒に卒業できてよかったね」。胸の内でそうつぶやき、思わず涙があふれた。色紙には「元気にしてる? ゆっくり休んでね」「卒業しても一緒だよ」というクラスメートのメッセージが記されていた。
事件を起こした男は、元妻が市川さんの長男と親交があると思い込み、逆上したとみられている。その一方で、「長男にも責任がある」という中傷がインターネット上で広がった。現場となったのは、直人さんが生まれた年に新築した平屋建ての一軒家。出産後の妻と直人さんの退院日と入居日が重なり、「直人と共に生きていく家」だと期待に胸が膨らんだ。だが、事件で一面血の海に。県内のアパートに転居せざるを得なくなった。
その後、生活は一変した。妻と2人で暮らすアパートは、20アンペアを超えるとブレーカーが落ちるため、エアコンはない。風呂場の扉もしっかりと閉まらず、手で押さえながらシャワーを浴びる。
殺害された2人分の遺族給付金計約680万円が支払われたのは、事件から約9か月後だった。犯罪被害給付制度の一つで、支給額は被害者が事件直前に労働で得ていた収入などを基に算出される。杏菜さんが勤めていた居酒屋レストランは、コロナ禍で前月から休業しており、事件当時の収入はゼロ。高校生だった直人さんも収入がなかったため、支給額が低水準だったとみられる。
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