
円広志
2000年に芸能界を引退した元タレントの上岡龍太郎(かみおか・りゅうたろう=本名・小林龍太郎)さんが5月19日、大阪市内の病院で肺がんと間質性肺炎のため死去した。81歳だった。訃報を受け、上岡さんが初代局長を務めたABCの人気番組「探偵!ナイトスクープ」の主題歌「ハートスランプ二人ぼっち」を手掛けた歌手でタレントの円広志が2日、スポーツ報知の電話取材に応じた。
円は、上岡さんの訃報をニュースで知り「驚きました」。長らく会う機会はなかったというが、円が出演する関西テレビの生活情報番組「ごきげんライフスタイル よ~いドン!」の放送作家と上岡さんが仲が良かった関係で、近況は耳にしていたという。ある時には、「よ~いドン!」を見ていたという上岡が「最近、円君が生意気に見えるで」と言っていたと聞き、「『若いうちから偉そうにしていた上岡さんには言われたくないわ~』って言っといて」。知人を介してやり取りしていたこともあったと笑って振り返った。
円は「上岡さんはよう見てくれはる」と繰り返した。というのも、「ハートスランプ二人ぼっち」の1番最初の歌詞に「ベッドのまわりに何もかも脱ぎ散らして」とあるが、「上岡さんに『君、脱ぎ散らかしてやで』って指摘されました。辞書で調べたら、『脱ぎ散らかして』が合ってました」と苦笑い。
さらに、同曲を番組に提供してからしばらくたった時のこと。「歌が気にくわなくて、そっとボーカルだけ録り直したことがあったんですよ」。ほとんどの人が気付かなかったという変化に、上岡さんはいち早く反応。「すっと気付いてくれて、『君、今度の歌はぐにゃぐにゃしてるな』って言われて。確かにちょっと粘っこくなっているなって思いましたね。気にかけてくれて、ズバズバといただいてうれしかったですね」。小さな変化にも気付いてくれる先輩の姿に感謝した。
上岡さんの番組に出演した時にも驚いたことがあったという。「びっくりするのは、『EXテレビ』に出られていたとき、上岡さんは3ページくらいの1人しゃべりを1回読んだだけで覚えてしまうんですよ。ペラペラって読むだけで、カンペ一切無しでやる。いざ自分がやれって言われたら、とてもじゃないけれどできることではない」と興奮気味に振り返り、「よく、ご自分で『天才上岡龍太郎』とおっしゃっていましたが、まさに天才上岡龍太郎やな、という存在でした」。上岡さんのすさまじいプロ魂をたたえた。
報知新聞社