中国初の国産旅客機、「中国産」と言い切れない理由


中国初の国産旅客機、「中国産」と言い切れない理由

C919の初飛行を撮影する航空ファンら=5月28日、北京首都国際空港近郊

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中国政府は同機を国産大型旅客機の第1号と位置付けている。海外航空機メーカーへの依存を減らすために、中国政府が大々的に展開する「中国製造2025」政策の旗頭的な存在だ。

だがC919は、技術革新における中国の国際的地位を強化するどころか、欧米依存から抜けきれない状態を象徴していると専門家は言う。

その理由は、機体に使われている部品の大多数が海外製で、それも欧米からの製品が大半を占めているからだ。中国の国営メディアは同機の部品の約40%が輸入品だと報じているが、実際の数字ははるかに上回ると専門家は言う。

航空機メーカーが機材を世界中から調達するのは珍しくないが、「C919が他と違うのは、飛行に必要な部品のほぼすべてが中国製でないという点だ」。こう語るのは、中国の数十年規模の旅客機開発計画を2年にわたって調査したチームのリーダー、スコット・ケネディ氏だ。

果たして結論は。米シンクタンク「戦略国際問題研究所(CSIS)」の中国のビジネスや経済の専門家、ケネディ氏は、「基本的に、C919は非中国製の航空機に中国の塗装を施したものだ」と語った。

長年の夢

航空業界の動向を追うエンダウ・アナリティクス社を創業したシュコア・ユソフ氏は、これがどれほどの難問であるかは語りつくせないと言う。

現在、国産航空機を製造している国は世界でも数えるほどだが、ユソフ氏によれば、それも当然のことだという。難解な技術的知見や厳しい規制上の要件、驚くような時間と資金といった巨大なハードルが待ち構えているためだ。

例えばC919の場合、CSISの試算では製造費はすでに490億ドル(約6兆8200億円)に達している。ただしCOMACの財政状況が不透明なため、正確な数字を出すことは不可能だとCSISは言う。

C919はCOMACが製造した初めての国産航空機ではないが、その大きさから、より注目を集める形となった。

C919の収容可能な乗客数は最大192人で、最大航続距離は5500キロメートル。

これに対し、COMAC初の商用機「ARJ21」はずっと小型の国内専用機だ。最大航続距離はわずか3700キロメートルで、乗客数も最大97人だ。

COMACは広胴型の長距離航空機「CR929」の製造にも取りかかっている。だがこちらは中国とロシアの共同プロジェクトで、ケネディ氏によれば、昨年ロシアがウクライナに全面侵攻をしかけて以来中断しているとみられる。

「こちらの機体はおそらく写真や図面で終わるだろう」とケネディ氏はCNNに語った。「中国とロシアの共同計画に、技術提供しようとする者はいない」



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