米空軍が熱望するA-10の処分、議会も2024年に42機の退役を認める方針

[ad_1]

米空軍のブラウン参謀総長は今年3月「今後5年から6年でA-10は在庫から外れることになるだろう」と述べ、米議会も2024年に42機のA-10退役を認める方針だが「今後も退役させるならF-35やF-16でA-10の代わりが務まると証明しろ」と要求している。

今後もA-10を退役させるには「F-35やF-16でA-10の代わりが務まる」とを証明しなければならない

米議会は10年以上も「A-10を退役させたい」という米空軍の願いを拒否、そのため主翼の交換やアビオニクスの更新など大掛かりなアップグレードに空軍の資金を奪われていたのだが、2023年度予算で初めて21機の退役(281機→260機)を承認、米空軍のブラウン参謀総長は今年3月「今後5年から6年でA-10は在庫から外れることになるだろう」と主張していた。

米空軍が熱望するA-10の処分、議会も2024年に42機の退役を認める方針

出典:U.S. Air National Guard photo by Munnaf Joarder

下院が用意している国防権限法(NDAA)の草案にはA-10×42機の退役を認める内容が盛り込まれており、空軍は来年もA-10の一部(260機→218機)を手放すことができる可能性が高いものの、このNDAAは「今後A-10を削減するには『新たな近接航空支援を提供する計画』を議会に提示せよ」とも付け加えているため、2025年のNDAAでA-10退役を認めさせるには「F-35やF-16でA-10の代わりが務まる」と証明しなければならない。

因みに下院は2022年のNDAAで「F-15C/Dの退役が戦闘機戦力の戦闘能力や即応性に及ぼす詳細な報告書を提出しない限り同機の退役を認めない」と注文をつけていたが、2023年の草案ではF-15C/D×57機の退役が許可されている。

米空軍のブラウン参謀総長、A-10を2028年までに完全退役させると発言
米軍事委員会がA-10やE-3の退役を承認、F-22AとF-15C/Dの退役は禁止

空軍はBlock4のエンジンにF135EEPを支持したが、議会はAETPを支持しているという意味

エンジンは戦闘機のパラメーターに大きな影響を及ぼす重要なユニットで推力性能は速度や加速、燃費性能は航続距離、冷却性能と発電能力はアビオニクス、耐久性は運用や保守に直結し、基本設計で想定された以上の能力を引き出そうとすれば別の何かを犠牲にする必要があり、F-35のエンジンは冷却能力の拡張とブリードエアの供給量を交換するゼロサムゲームの影響で推力が低下、これをカバーするためF135はより多くの燃料を消費し、設計で想定された以上の高温運転が続くためエンジンが摩耗、故障率と保守サイクルを著しく悪化させている。

米空軍が熱望するA-10の処分、議会も2024年に42機の退役を認める方針

出典:U.S. Air National Guard photo by Staff Sgt. Mercedee Wilds

さらにF-35Block4(ロット17以降)で要求される冷却性能と発電能力はF135の設計限界を超えており、F-35のエンジン問題は「3つ目の空気の流れを追加して3ストリーム化したAETP(アダプティブエンジン)を採用するか」「F135の改良型であるF135EEPを採用するか」で揉めていたが、米空軍のケンドール長官は2024年度予算に関するブリーフィングの中で「F-35の現行エンジンを支持してアップグレードを行う。この決定はF135を製造するP&Wに大きな利益をもたらすだろう」と述べた。

ケンドール長官は「GEのXA100が全てのF-35で機能すると確信できなかったためAETPプログラムに資金を提供することはできない。我々は手頃なコストで全てのバージョンをサポートするエンジンを必要としている」と指摘し、AETPプログラムへの資金供給を削除した予算案を議会に提出したが、下院が用意しているNDAA草案はAETPプログラムに資金供給(5.8億ドル)を義務付けており、このまま行けば空軍はAETPとF135EEPの両方に資金を供給しなければならない。

米空軍が熱望するA-10の処分、議会も2024年に42機の退役を認める方針

出典:GE Aviation XA100

つまり空軍はBlock4のエンジンにF135EEPを支持したが、議会はAETPを支持しているという意味で、まだF-35のエンジン問題はひと悶着あるかもしれない。

F-35Block4のエンジン問題、米空軍長官はAETPではなくF135EEPを支持
F-35のエンジン問題、米国防総省は最大380億ドルを追加負担する可能性
F-35の設計は根本的に冷却要件を見誤り、エンジン寿命に問題を抱えている

テストでTR3に致命的な問題が発覚するとLOT17分の機体には追加の改修コストが必要となる

F-35プログラムは現在、4つのアップグレード=F-35の能力を強化するBlock4開発、システムインフラストラクチャーを刷新するTechnology Refresh3(TR3)開発、F135の能力を強化するEngine Core Upgrade(ECU)開発、電力・冷却システム(Power and Thermal Management System/PTMS)の改良を同時に進めており、TR3の開発作業は1年遅れの2024年4月に完了する見込みだ。

米空軍が熱望するA-10の処分、議会も2024年に42機の退役を認める方針

出典:Edwards AFB/USAF TR3を搭載したテスト機

しかし量産機へのTR3組み込みはLOT17から始まるため、F-35ジョイント・プログラム・オフィス(JPO)は「TR3のテストが完了していないため年内に出荷が始まるLOT17分の機体は受け取れない」と発表、テストが完了するまでTR3搭載機は保管されるらしい。

因みにテストでTR3に致命的な問題が発覚するとLOT17分の機体には追加の改修コストが必要となる。

F-35Block4実用化に向けたマイルストーン、TR3搭載の試験機が初飛行
F-35Block4の目玉機能、2024年にアップグレードされたAN/ASQ-239を実装

 

※アイキャッチ画像の出典:U.S. Air Force photo by Airman 1st Class Makenna Gott

[ad_2]

Source link