ジョーカー事件初公判 (2)自殺未遂、元交際相手の結婚…「大量殺人で死刑に」

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服部恭太被告(佐藤徳昭撮影)

【表でみる】絶望と疎外感…電車内無差別2事件、公判で何語る

《服部被告はこの日の罪状認否で、被害者1人をナイフで刺したという殺人未遂罪での起訴内容を認めた。一方、放火による12人への殺人未遂罪が成立するかは「わかりません」と説明し、弁護人も争う姿勢を示した。まず検察官は、被告のこれまでの経歴について説明した》

《検察側の冒頭陳述によると、被告は高校卒業後に介護施設に就職。その後、アルバイトとして職を転々とし、平成30年4月にコールセンターでの仕事を始める。令和2年3月には中学3年のときから交際していた女性と同棲(どうせい)を開始したが、関係は長くは続かなかったという》

検察官「同年11月に女性から別れを告げられ、被告は実家に戻ることになりました。3年6月には、この女性が別の男性と結婚したことを知りました」

《ショックを受けた被告は「自分には存在価値がない。死にたい」と思い詰めるようになったという。さらに、勤務先のコールセンターでは、不本意な異動を告げられた》

検察官「それまでにも自殺を図り失敗した経験があったため『死ねないのなら、大量殺人をやって死刑になろう』と考えるようになりました。(3年)6月22日には、10月31日のハロウィンの日に無差別殺人をしようとインターネットでナイフを購入しました」

《7月30日には、福岡県の実家を出て神戸市や名古屋市のホテルなどを経て、9月30日からは東京都八王子市のホテルに滞在。そんな中で接したのが、男が走行中の小田急線の車内で無差別刺傷事件を起こしたという報道だった》

検察官「自分も電車内で乗客を殺害しようと考えるようになり、ジッポーライター5個、ライター用オイル22本、殺虫剤スプレー6本などを購入するなどの準備を始めました」

《そして、被告は事件当日の10月31日午後7時54分、調布駅から京王線の上り特急電車に乗車した。このときは乗客を先頭車両に追い詰め、殺害するつもりだったという》

検察官「まず、3号車でAさん(男性、当時72歳)に殺虫剤を噴射したうえ、胸をナイフで刺しました。その後、逃げる乗客を追いかけ、5号車と6号車の連結部分で乗客が動けなくなっているのを見て、その場で焼き殺そうと考え、ペットボトルに入ったオイルをまき散らし、ジッポーライターで火をつけたものの、車両の床を焦がすだけにとどまりました」

《服部被告は、白いハンドタオルを握りしめながら検察官の声に静かに耳を傾けている》

《検察側は、「ジッポーライターに火をつけた時点で、人を焼き殺す危険性があった」と指摘。殺人未遂罪の成立に必要な「実行の着手」があったことを今後の公判で明らかにしていくとして、冒頭陳述を締めくくった》

《続いて、弁護側の冒頭陳述が始まる。服部被告の左側に座っていた女性弁護人が、証言台の前に立った。まず言及したのは、被告の生い立ちだ》

弁護人「服部さんは福岡県で生まれ育ち、小学生のころに両親が離婚しました。以降は、母親と5歳年下の妹と3人暮らしでした。小学5年のときに同級生、特に女子から避けられるようになり、こうしたいじめは中学に入ってからも続きました」

《母親にも学校の先生にも相談することができず、被告は思い悩んだ末に1度目の自殺未遂を起こし、クリニックで治療を受けるようになったという》

弁護人「中3のときには所属していた陸上部の後輩の女子と交際を始めました。それまで女子には避けられていたので、このときできた彼女はとても貴重な存在だと感じました。その後に進学した高校では、空手部の部長も務めました」

《このころ、祖母が体調を崩したのを見て、将来は面倒をみてあげたいと考えた被告は高校卒業後、介護の仕事に就く。しかし、この職場で人間関係がうまくいかず、2度目の自殺未遂を図り精神科に通院した》

弁護人「21歳のときにコールセンターでアルバイトを始めました。この職場ではやりがいを感じ、のちに契約社員に登用されました。私生活でも中学時代から交際する彼女と同棲を始めました」

《しかし、同じ年の11月、交際相手から別れを告げられてしまう。その日は被告の誕生日だった。翌年には、仕事上のトラブルによる部署異動、そして、元交際相手の結婚の知らせ、という出来事が続いたという》

弁護人「『(元交際相手は)自分と別れてから半年しかたっていないのに、自分と彼女が過ごしてきた時間は何だったのか。生きている意味とは何なのか。もう死んでしまいたい』と考えるようになりました。服部さんはそれまでに2度、自殺を図りながらも遂げられなかったことから、死刑になろうと考え、職場も退職しました」

《10月31日、京王線の新宿行き特急電車内。事件を起こそうとショルダーバッグから殺虫スプレーやナイフを取り出していると、被害者となるAさんが自分を指さして大きな声を出していることに気付いた》

弁護人「(犯行の)邪魔をされると思い、男性(Aさん)に向けてスプレーを噴射しました。男性が手でスプレーを振り払うと、それが服部さんの手に当たり、『反撃された』と思い込んで男性の胸をナイフで突き刺しました」

《弁護側の説明は、5号車での事件に及んだ》

弁護人「乗客がどんどん6号車に逃げていくのを目にした服部さんは、あわててライターを取り出しました。12人の乗客はライターが投げられた時点で、5号車からは退避が完了しており、殺人未遂罪は成立しません」

《今後の公判では、乗客が撮影したツイッターの動画などを通して説明をしていくと述べたうえで、弁護人は最後に裁判員にこう訴えた》

弁護人「刑事裁判では、有罪か無罪かの決定は提出された資料に基づいてのみ判断されるものです。この事件はインターネットや報道でセンセーショナルに取り扱われましたが、証拠以外での判断は許されません。証拠をまっさらな状態で見なければ、偏った判断になってしまいます。どうか、この法廷の中で服部さんの言葉を聞いてもらいたいと思います」=(3)に続く

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