
六角さん、老後に不安を抱えているからこそ、いま一生懸命働いているそうで――(写真提供:主婦の友社)
健康問題、ローン返済、物価高騰、親の介護など…50歳を過ぎると、すべてが順調で恵まれた生活を送っている、という人はそうそう多くはないことでしょう。ギャンブルによる借金や三度の離婚といった、つらく苦しい経験をしながらも「たいていの困難はきっと乗り越えられるさ」と語るのは俳優の六角精児さん。その六角さん、老後に不安を抱えているからこそ、いま一生懸命働いているそうで――。
【写真】真剣な表情で定年後を話す六角さん
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◆役者が年齢を重ねるということについて
映画でもドラマでも若い俳優はつねに需要があるけど、年寄りの役はそんなに必要ないじゃないですか。
要は年齢を重ねるにつれて、演じられる役柄はどんどん限られていくんですよ。
しかも、その限られた役だって実力のある人気俳優から順にチョイスされていくわけだし。
だから松重豊さんみたいな人はいつまでも起用されると思うけど、僕は微妙なところなんじゃないかなぁ(笑)。
同じ俳優でもルックスで売ってきた人は30歳くらいでふるいにかけられちゃう現実があって。
そのときに脂の乗ったサラリーマンがどうできるのか、40代では中間管理職をどう演じられるのか、50代では貫禄のある重役をどう見せれるのか。
そうなるとイケメンという要素は大して必要でもなくなってくるから、人間としての魅力が備わってこないと厳しい。

『六角精児の無理しない生き方』(著:六角精児/主婦の友社)
◆仕事がなくなった時点で定年なんです
俳優は定年がないっていわれるけど、仕事がなくなった時点である意味定年なんですよ。
要は個人差があるだけで、定年がないわけじゃない。
僕はもし定年になっても、劇団は続けたいと思う。
劇団って仕事じゃなくて社会活動だから。
リタイアしたなりに、また違った切り口で芝居に取り組むことができるんじゃないかな。
いまはどうしたって経済的な兼ね合いも含めて役者をやっている部分もあるのだけど、定年後はそこから離れて自分がやりたい芝居だけをしてみたいですね。
この先どうやっていこうという具体的なプランはまだないにしても、好きなものに少しずつ重きを置いていったほうがいいと思っています。