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5月末で閉鎖したJR彦根駅のみどりの窓口=1日午後
JRグループ各社が全国の主要駅構内に設置し、乗車券や特急券を対面で買える「みどりの窓口」が、京滋などで次々と姿を消している。今月末には、滋賀県内で数年前まで最多の乗降者数を誇った南草津駅でも閉鎖する。代わりに各駅で順次導入されているのが、画面上でオペレーターと会話しながら手続きできる「みどりの券売機プラス」だ。利便性や効率性は向上したのか。有人から無人へと過渡期を迎えつつある発券サービスの現状を取材した。
【写真】みどりの窓口の代わりに設置された機器
国宝・彦根城の最寄り駅で彦根市の玄関口であるJR彦根駅。近江鉄道本線も乗り入れ、市民や観光客の利用も多いが、みどりの窓口は5月末で営業を終了し、同月上旬に新設されたみどりの券売機プラスに完全に置き換わった。
閉鎖から一夜明けた6月1日に同駅を訪ねると、窓口があったスペースは一面灰色のカーテンで覆われていた。券売機コーナーの一角に設置された最新鋭の機器の扱いに戸惑う人の姿も一部見られた。
法事に向かうため乗車券と特急券を購入しようと訪れた市内の70代女性は「最寄りの南彦根駅にみどりの窓口がないのでこちらまで来た。まさか無くなっているとは」と驚いた様子。同プラスの画面上に映し出された「待ち人数6人、待ち時間15分」の表示に不安を覚えたが、受け付けが始まると「オペレーターの姿が映り、ちゃんと顔を見て話せるから安心しました」と胸をなでおろした。持参した割引証明書などの書類も備え付けのカメラで正常に読み取られ「初めてにしてはちゃんとできた。次回も使えそう」と笑顔を見せた。
JR西日本のみどりの券売機プラスは2010年に神戸市の甲南山手、須磨の両駅に初めて登場した。兵庫県尼崎市にあるコールセンターが一括し、各種割引や払い戻しも対応。早朝や深夜でも利用可能だ。置き換えは滋賀県内でも急速に進む。みどりの窓口は昨年に長浜駅、一昨年には守山駅で閉鎖され、今月末には南草津駅のほか近江八幡駅でも営業を終える予定だ。
発券作業の省力化を急ぐ背景には、経営環境の変化がある。
少子高齢化で人材確保が難しくなる一方、訪日外国人や体が不自由な人へのサポートの充実も必要で、新型コロナウイルス禍では固定費を下げることも求められた。こうした中、みどりの窓口の設置駅を30年度末までに約330から約100まで減らす計画で、同社は「22年度末時点で年間約15億円の費用低減を図った」とする。
利用者からの評判はおおむね高いが、手続きの手段が変わっても個別の対応に要する時間に顕著な変化はない。月に複数回利用するという守山市の会社員男性(51)は「(オペレーターにつながるまで)20人待ちのこともある。待ち時間を短くして」と要望する。
また、大部分の駅でみどりの券売機プラスは1台しか設置されていないため、既に利用者がいる場合は後ろに並ぶ必要があり、トータルの所要時間が読みにくい面もある。
実際、守山駅でも前の人の手続き終了を待ち続け、自分の番になっても通話開始まで手持ちぶさたで、手続きを終えると小走りで駅を後にする人の姿が見られた。
JR西は改善対策としてオペレーターの増員や最繁忙期の社員の追加配置を行ったほか、オンラインで待ち時間を確認できるようにしたとする。同社近畿統括本部は「みどりの券売機プラスをお待ちでも、実は隣の券売機で買える場合もよくあり、お客様が並んでいる時は可能な限り駅係員が声を掛けている。今後も駅係員の対応やインターネット予約の各種機能向上、遠隔コールセンターの品質向上などを図っていく」としている。
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