参院選の投開票が21日に迫った。茨城選挙区(改選数2)の主要候補のうち、野党の公認を受ける3氏はそろって日本原子力発電東海第2原発(茨城県東海村)の再稼働反対を訴えている。ただ、それぞれの置かれた状況が絡み、主張のトーンや中身には微妙な温度差もある。
再稼働反対を掲げているのは、日本維新の会新人の海野徹氏(70)と立憲民主党新人の小沼巧氏(33)、共産党新人の大内久美子氏(69)だ。
海野氏は東海村に隣接する那珂市の市長を務めた経験から、再稼働反対などの「いのちを守る政治」を掲げ4月に出馬表明し、6月に維新の公認が決まった。
参院選公示後の街頭などでの訴えでは、原発問題よりも、党の看板である「身を切る改革」や消費税率引き上げ反対を中心に据えるケースが目立つ。応援に駆けつけた維新の松井一郎代表(大阪市長)や片山虎之助共同代表も、海野氏が市長時代に10%の報酬削減に取り組んだことなどの紹介に時間を費やした。
陣営関係者は「再稼働反対の旗は降ろしていない。ただ、自民党に不満を持つ保守層にも浸透を図るためには、訴える内容の『幅』も必要だ」と明かす。
小沼氏は「リアリティーのある原発ゼロ」を持論とし、原発をなくした後の雇用の問題にも触れて「エネルギー企業の新しい飯の種を作る」と訴える。
連合茨城は小沼氏の推薦を見送り、支持にとどめた。電力系労組を擁する連合にとって、「原発ゼロ」を強く訴える候補の全面支援には困難が伴う。原発関連産業に従事する組合員もいる茨城県ではなおさらだ。連合関係者は「『リアリティー』は配慮の裏返しだ」と解説する。
海野、小沼両氏と比べると、訴えが鮮明に映るのが大内氏だ。選挙公報では、「憲法9条守る」「消費税増税中止」「年金底上げ」などよりも上に「東海第2原発の再稼働ストップ」の文言を載せた。海野氏は市長時代の実績として「再稼働反対を表明」と最下段に記し、小沼氏は「脱原発を推し進める」と太字でアピールしたものの「東海第2原発」の文字はなかった。
一方、自民党現職の上月良祐氏(56)は東海第2原発の再稼働問題について積極的には言及していない。自民党選対関係者は「茨城に限らず、野党が原発問題の争点化を狙う選挙区では相手の土俵に乗らない」と語った。(松本学)
■ ■ ■
◇茨城選挙区立候補者
届け出順(2-5)
田中 健 53 元江戸川区議 諸 新
海野 徹 70 前那珂市長 維 新
小沼 巧 33 元経産省職員 立 新 【社】
大内久美子 69 元県議 共 新
上月 良祐 56 元農水政務官 自 現 【公】