トヨタ自動車は、2025年5月に基幹モデルのひとつである「カローラ」シリーズの複数のモデルで一部改良を実施しました。この改良における最大の注目点は、多くの主力モデルにおいてパワートレインがHEV(ハイブリッド)に一本化されたことです。これにより、ガソリンエンジン車が用意されるのは、「カローラ アクシオ」「カローラ フィールダー」「GRカローラ」の3モデルのみとなりました。今回の変更は、トヨタのカローラ戦略における新たな局面を示しており、その背景や現在の国内カローラを取り巻く状況を確認します。
日本国内で現在販売されているカローラシリーズは、合計で7モデルが存在します。今回の一部改良の対象となったのは、セダンの「カローラ」、ワゴンの「カローラ ツーリング」、ハッチバックの「カローラ スポーツ」、そしてSUVの「カローラ クロス」の4モデルです。これらのモデルは、カーボンニュートラルの実現に向けた取り組みの一環として、HEV専用モデルへと刷新されました。スポーティな走行性能を重視するカローラ スポーツや、カローラ クロスに追加された「GR SPORT」グレードも、全てHEVパワートレインのみの設定となっています。
2025年5月の一部改良でハイブリッド化が進んだトヨタ カローラ シリーズ
一方、今回一部改良の対象外となったモデルが3つあります。これらは、主に法人ユーザーをターゲットとした5ナンバーサイズのセダン「カローラ アクシオ」とワゴン「カローラ フィールダー」、そしてモータースポーツからのフィードバックを活かした本格スポーツモデル「GRカローラ」です。これらの3モデルは、改良されなかったため従来のパワートレイン設定を維持しています。カローラ アクシオとカローラ フィールダーには、HEVとガソリンエンジン車の両方が設定されており、ガソリンエンジン車にはMT(マニュアルトランスミッション)の選択肢も残されています。GRカローラは、その性格上、エンジン車のみの設定となり、ATとMTが用意されています。
トヨタがカローラシリーズの主力モデルでHEVへの一本化を進める背景には、「カーボンニュートラルの実現」という大きな目標があります。多くのモデルをHEVに集約することで、燃費効率の向上とCO2排出量の削減を図る狙いがあります。一方で、一部モデルでガソリン車を残しているのは、それぞれのモデルが担う特定の役割やターゲットユーザーのニーズに応えるためと考えられます。特に、アクシオとフィールダーはビジネスユースでの需要が高く、車両価格やメンテナンスコスト、あるいは特定の業務用途におけるMTの必要性などが考慮された可能性があります。GRカローラは、純粋なドライビングプレジャーを提供するスポーツモデルとして、内燃機関によるパワフルな走りが重視されています。
日本国内で販売されるセダン、ツーリング、スポーツ、クロスなど多様なトヨタ カローラ モデル
今回のカローラシリーズの一部改良は、トヨタが電動化を加速させる一方で、特定のニーズを持つモデルには従来型パワートレインも残すという、多角的な戦略を示唆しています。主力モデルのHEV化は、環境性能を求める声の高まりに応えるものであり、今後のカローラシリーズの方向性を決定づける重要な変更と言えるでしょう。
出典: https://news.yahoo.co.jp/articles/83732c1be74ac883c8c740ba3e2bd9b24304321c