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上皇ご夫妻に新年のあいさつをするため、仙洞御所に入られる皇后さまと長女愛子さま=東京都港区で2023年1月1日(代表撮影)
皇室の存続は危機にあるにもかかわらず、政治家をはじめ、この問題への関心は高いとは言えません。
【写真】陛下、愛子さまと皇居で雅楽鑑賞
そのことが愛子さまや悠仁(ひさひと)さまらを苦しめていると嘆く、河西秀哉・名古屋大学大学院准教授に聞きました。【聞き手・須藤孝】
◇ ◇ ◇ ◇
◇一人だけ
――皇位継承は危機的な状況が続いています。
河西氏 秋篠宮さまは天皇陛下と同じ世代です。陛下の次の世代で皇位継承権があるのは悠仁さましかいないのです。
また、現在の皇室典範の規定では、女性皇族は結婚したら皇族ではなくなります。愛子さまも佳子さまも成人し、いつ結婚してもおかしくありません。皇族は減る一方です。危機的な状況です。
――女性天皇や母方の血筋だけでつながる女系天皇の議論も進みません。
◆世論調査などでは女性天皇や女系天皇に賛成する人は多いのですが、聞かれたら賛成と答える、どちらかといえば賛成ということなのでしょう。生活課題の方が重要となり優先順位は高くありません。
一方、反対する人たちの声は非常に大きい。積極的反対なのです。政治家は声が小さいマジョリティーより声の大きいマイノリティーを気にしています。
――本人にとっては大変な問題です。
◆とてつもないプレッシャーです。このままでいけば、悠仁さまと結婚する女性は、子どもを産め、しかも男子を産めというプレッシャーにさらされます。あまりにも非人間的です。
日本国の象徴は天皇で、首相では代替できないと思います。誰かに天皇をやってもらわなければならないのです。その時にただ一人の人にすべて負わせていいのでしょうか。
――悠仁さまだけではありません。
◆愛子さまや佳子さまら、そのほかの女性皇族にとっても大変です。今のまま議論が進まなければ、彼女たちの人生も定まりません。制度を維持するならば、できるだけ非人間的ではないやり方を模索すべきです。
◇すべてまとめてやらなければ
――まず女性宮家からでしょうか。
◆私はすべてまとめて一度にやるべきだと思います。女性宮家を創設し、子どもには皇位継承権を与える。同時に女性・女系天皇も認める。
女性宮家を作っただけで子どもに皇位継承権を与えなければ、その子の人生も中ぶらりんになります。皇族ではないといって育てられ、ある日突然、やっぱり男子が足りないから天皇になってくれと言われるかもしれない。そんなことが許されるのでしょうか。きちんと決めてあげないとその方々の生き方に大きく影響してしまいます。
――とりあえず女性天皇だけを認めるという意見もあります。
◆問題の先送りにしかなりません。皇族がたくさんいた古代などは、女性天皇の後に男性天皇もあり得ました。しかし現代のような状況では女性天皇を一度認めればその子は女系ですから、次の世代を考えると女系天皇になります。
愛子さまを天皇にして、子どもには皇位継承権を与えないとしたところで、愛子さま、悠仁さまの次の世代の皇位継承者が必要になり、やっぱり(女系の)愛子さまの子どもを天皇に、となりかねません。
それならばはじめから女系天皇をみとめたほうが本人たちにとっていいと思います。
◇自分自身の問題として
――旧宮家の男性を皇族に復帰させる案があります。
◆普通の国民だった人が突然、皇族になると言われても国民は受け入れがたいでしょう。天皇家の血統が続くことが重要だと考えれば、また現代の社会状況を考えれば、天皇を男性とすることにこだわる必要はありません。
――愛子さまや佳子さま、悠仁さまらの人生を考えるべきだということですか。
◆皇室の問題は日本社会でも起きている問題です。たとえば、日本は女性にとって子どもを産むことが大変な社会です。そのように自分自身の問題と関連させて考えるべきです。
皇室は今の日本社会には必要な存在です。その人たちがさまざまな制限を受けながら生きていることについて、真剣に考えてほしいと思います。
――小室眞子さんへのバッシングはひどいものです。
◆天皇家へのバッシングは昭和の時代も平成の時代もありました。美智子さまも雅子さまもたたかれました。皇族のことは誰でも知っているからたたきやすいということはあるのでしょう。
しかし、天皇陛下自身が批判されることは多くはありません。皇室の中では弱い女性がたたかれるのです。小室眞子さんをめぐる状況をみると、昭和や平成の時代より、悪化しているように思います。
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