「AAA」與真司郎さん、ゲイであると公表　ファン向けイベントで

　音楽グループ「AAA（トリプルエー）」のメンバー、與真司郎（あたえ・しんじろう）さんが26日、東京都渋谷区でファンに向けたイベントを開き、自身がゲイであることを明かした。

【写真特集】ファンに語りかける與さん、涙ぐむ場面も

　與さんは「カミングアウト（公表）を決意するまでに、すごく時間がかかった。自分ですら受け入れられず、自分がゲイだと認めてしまったら、世の中が自分のことをアーティストとして認めてくれないのではないかと、恐怖を感じることもあった」と打ち明けた。公表した理由については「僕と同じ境遇に置かれている方々にも勇気を持つきっかけにしてもらい、自分は一人ではないということをわかってほしかった」などと話した。

　自殺に追い込まれることもあるなど性的少数者を取り巻く厳しい状況にも触れ、「苦しんで、助けを必要としている人たちがいると知ってほしい」として、新曲の売り上げの一部を性的少数者の支援団体に寄付するとした。

　與さんは途中で涙ぐんだり、言葉に詰まったりする場面もあり、会場のファンからは「大好きだよ」などと、大きな声援や拍手が送られた。

　與さんはソロとしても活動していたが、2021年に休止し、現在は米国在住。今回は一時帰国し、活動再開に向けて「ファンの皆様の顔を見ながら、誰よりも最初に伝えることが僕のできる限りの誠意」としてイベントでの公表を決めた。

　今回の公表について、ゲイであることを明らかにしLGBTQなど性的少数者に関する啓発に取り組む松中権さんは「発信力のあるアーティストの方がカミングアウトするのは、日本ではこれまで聞いたことがない。特にイメージが大切な仕事だと、ファンが離れる可能性を不安視し、葛藤も大きいだろう」と指摘。「差別や偏見に苦しみ、周囲にカミングアウトできずにあきらめている多くの当事者たちにとって、希望を持てる出来事だ。若い世代には、こういう生き方ができるというロールモデルになると思う」と歓迎した。

　「AAA」は05年末に日本レコード大賞最優秀新人賞を受賞。NHK紅白歌合戦に7年連続で出場するなど活躍したが、20年にグループとしての活動を休止した。【藤沢美由紀】