一向に進まない浜松市中区の百貨店「松菱」跡地の再開発事業をめぐり、同市が事業者である不動産会社「アサヒコーポレーション」(同市中区)に対し、早急に具体的な事業計画案を示して再開発を進めるよう7月30日付で勧告した。鈴木康友市長が31日の定例会見で発表した。
勧告は都市開発法に基づく手続きで、平成29年に続き2度目。鈴木市長は「事業認可から15年近くを経過しても、いまだ明確な事業計画がないのは大変遺憾。地元企業として責任を持って対応してほしい」とし、「店舗として活用できないなら、イベント広場でもいい。中心市街地のあの場所が放置されているのはいかがなものか」と事業者に土地の活用を強く促した。
勧告対象は松菱本館跡を中心とする約4千平方メートル。17年の事業認可時には20年3月までだった再開発計画の施行期間は、その後3回延長され、現在は令和4年3月までとなっている。市は1度目の勧告以降、同社と17回のヒアリングを重ねたが、市が望む具体的な事業計画案は提示されなかったという。
平成13年に経営破綻した松菱の跡地にはこれまで、大手雑貨店「ロフト」を核テナントとする商業施設や大丸百貨店などの進出計画が浮上したが、いずれも頓挫した。松菱本館は24年に解体され、現在は更地になっている。