ウクライナの精鋭、失敗から学んだロシア軍は手強く困難な相手に豹変した

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ロシア軍と戦うウクライナの特殊部隊は「侵攻初期なら比較的簡単だった作戦も今では要求される犠牲を見極める必要がある」と述べており、敵の背後を叩く作戦にドローンの使用が増えているものの、昨年秋の失敗から学んだロシア軍も無策ではない。

特殊部隊による潜入作戦すら地雷原のため実行不可能、ロシア軍の後方を叩くのにドローンは不可欠

ウクライナのアルファ部隊は厳しい選抜(体力テスト、ポリグラフ検査、心理テストなど)をパスした人材だけで構成される保安庁(SBU)所属の特殊部隊で、侵攻直後はゼレンスキー大統領を含む主要な指導者と政府高官の護衛任務に従事していたものの、現在はアルファ部隊も前線に投入されており、昨年秋の失敗から学んだロシア軍が如何に手強く困難な相手に変貌したかをワシントン・ポスト紙に明かしている。

ウクライナの精鋭、失敗から学んだロシア軍は手強く困難な相手に豹変した

出典:Служба безпеки України

アルファ部隊の兵士は一般的なウクライナ軍兵士よりも練度が高く、少人数編成の部隊で敵に大きなダメージを与える潜入作戦が得意で、砲撃戦=遠距離攻撃が主体の戦場でも敵の背後に回り込み戦果を上げてきたが、オレフ(コールサイン)と呼ばれる指揮官は「地雷のせいで敵の背後に回る込むのはもう不可能だ。もし地雷除去装置を使用すれば居場所を敵に知らせることになる」と述べ、バフムート周辺はザポリージャの戦場に比べて地雷の数が少ないものの、それでもアルファ部隊のチームがロシア軍陣地に近づこうとしただけで14人も犠牲者が出たらしい。

オレフは「我々の部隊にとって14人の損失は大きすぎる。(一方的に我々がやられているのではなく)敵も損失を被っているが、この状況下において我々の損失が妥当なものかは分からない。1年半前や1年前になら比較的に簡単に出来たことも、今は妥当性=要求される犠牲を見極める必要がある」と、ザポリージャ方面で戦うアルファ部隊の兵士も「放棄された敵の塹壕に味方の兵士が近づいた瞬間、仕掛けられていた地雷が爆発し、近くに隠れていたロシア人が銃撃を開始して4人の味方が死亡した。残りの1人は味方の砲撃に助けられ脱出することができた」と明かした。

アルファ部隊の砲兵将校も「まず大砲で敵を掃討し、それから歩兵が当該地域の制圧に向かうが、隠れている敵の抵抗に合えば再び大砲で掃討しなければならず、前進はこのプロセスの繰り返しなので非常にゆっくりとしか進まない。これが我々の現実だ」と述べており、アルファ部隊は潜入作戦を止めて国産の自爆型ドローンを使用した作戦を増やしている。

オレフは「これまでに戦車・装甲車両×322輌以上、砲兵装備×48門、電子戦装置を含む特殊装備×65台をドローンで破壊もしくは損傷させた」とワシントン・ポスト紙に明かしているが、パシャ(コールサイン)と呼ばれるドローン部隊の指揮官は「これも現在では難しくなっている。ロシア軍がPole-21(半径50km以内のGPS信号を妨害する装置)を積極的に使用しているため、前線地域で地形やランドマークを頼りにドローンを飛ばしているが、目標を捉えた瞬間に妨害電波のせいで映像が真っ黒になることも多い」と指摘。

ウクライナの精鋭、失敗から学んだロシア軍は手強く困難な相手に豹変した

出典:Photo by Lance Cpl. Nicholas Guevara

このPole-21は「HIMARSで使用するGMLRS弾」や「155mm榴弾砲で使用するエクスカリバー砲弾」の命中率に影響を及ぼしており、アルファ部隊は手動操作で飛ばすドローンでPole-21の破壊を優先しているらしい。

ワシントン・ポスト紙は「アルファ部隊は7月にポロヒー(ザポリージャ州オレホボ周辺の集落)の煙突に設置されていたPole-21を手動操作のドローンで破壊、GPS信号の受信状態が回復するとウクライナ軍はPole-21が設置されていた煙突をHIMARSで破壊した。この種の作戦はアルファ部隊を含む特殊部隊のトレードマークになっている」と報じているが、パシャは「妨害の少ないドネツク方面で働く方が良かった」と付け加えており、同紙も「反攻作戦に備えて敵はザポリージャ方面に電子戦システムを集中させたため、彼らは働く環境の変化(ドネツクへの移動)を切望している」とも書いているのが興味深い。

因みにウクライナ軍が要求する情報・監視・偵察(ISR)用途向けのUAVは「4桁」ではなく「5桁」に到達しており、侵攻後にウクライナ軍が養成したUAVオペレーターの数は1万人を突破していたが、フェドロフ副首相兼デジタル化担当相は6月「新たに1万人のオペレーター養成を開始する。ロシアとの戦いは技術戦争の側面が強く、専門の知識をもったオペレーターを出来るだけ多く養成するのが重要だ。今日の戦いでUAVが果たす役割りは計り知れないものがある」と述べている。

ここまでUAVを大量に使用した大規模戦争は世界初で、広大な戦場が要求するISR任務の需要を「高価なミリタリー仕様のUAV」で満たすのは物理的にも資金的にも不可能に近く、ウクライナ軍もロシア軍も商用向けの固定翼機やクワッドコプターを大量に使用しており、入手性、機体サイズ、カメラの性能の点からDJI製のMavic3に人気が集まっているらしいのだが、戦場のUAVオペレーターに求められる技術や能力は商用向けのオペレーターとは完全に別ものだ。

ウクライナの精鋭、失敗から学んだロシア軍は手強く困難な相手に豹変した

出典:Сухопутні війська ЗС України

戦場で活動する航空偵察チームは安全な後方でUAVを操縦しているのではなく、狙撃兵にように2人1組で前線に出て1人はUAVを操縦し、もう1人はUAVのカメラ映像と地図を比較して発見した目標の座標を特定、この情報を参謀本部のサーバーに送信しなければならず、UAVオペレーターになるには「無人機を飛ばす技術」の他に「戦場を移動するための戦術」「カモフラージュ技術」「地図や地形に関する情報」「UAVに関する技術的理論」「サプライヤーが課す技術的制限を回避する方法」などを学ぶ必要があるらしい。

特に重要なのはGPS信号が妨害されている環境下でもUAVを飛ばすための「手動飛行技術」で、他にも戦場で商用向けUAVを使用するためには幾つもの手順(例えばUAVのカメラは発射地点からある程度離れるまでスイッチを入れない=墜落したUAVから映像データを吸い出した敵が運用地点に砲撃を加えてくるの防止するため)があり、商用向けのオペレーターをただ戦場に連れてきても殆ど意味がなく、恐らくウクライナ軍が確立した運用ノウハウと戦場での経験はNATOにとって計り知れない価値をもたらすだろう。

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※アイキャッチ画像の出典:Служба безпеки України

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