ウクライナ人パイロットの訓練完了は来年の夏以降、反攻作戦はF-16なしでも可能

現在の反攻作戦を「航空戦力の不足で失敗した」と批判するのは「米軍と同じ手段をウクライナに持たせろ」と言っているのと同義

ウクライナ人パイロットの訓練に関して、ワシントン・ポスト紙は「訓練が終わるのは最短でも来年の夏以降」と報じています。また、ニューヨーク・タイムズ紙は「ほとんどの軍事アナリストはF-16が戦場での違いをもたらさないと主張しており、F-16なしでも反攻作戦は成功することができる」と伝えています。

パイロットと地上要員の訓練には時間がかかる見込み

ワシントン・ポスト紙によると、ウクライナ人パイロットの訓練は予想以上に時間がかかる見込みです。ウクライナ空軍は西側製戦闘機の提供に備えて、パイロット達に英語の授業を受けさせていました。しかし、最近のテストでは、適切な英語スキルを身につけたパイロットは32人中8人に過ぎませんでした。特に地上要員は英語に堪能ではなく、ウクライナ人にとっては初めて扱う西側製戦闘機で必要な専門用語も英語で学ばなければなりません。したがって、最初のパイロット6人と地上要員は、イギリスで約4ヶ月間の座学を受ける必要があります。

訓練の終了は2024年の夏以降

そのため、F-16を使用したパイロットと地上要員の訓練は2024年1月頃から始まります。F-16を飛ばすための訓練と機体の整備訓練が終わるのは夏以降の予定です。第2陣の訓練も2024年末頃になる予定です。したがって、機体の提供がスムーズに行われたとしても、F-16がウクライナの空を飛ぶのは約1年後の「来年の秋以降」になります。

F-16なしでも反攻作戦は可能

ニューヨーク・タイムズ紙によると、「ほとんどの軍事アナリストはF-16が提供されたとしても戦場での違いは少ないと考えており、F-16なしでも反攻作戦は成功することができる」と報じています。また、元米陸軍のスティーブ・ボイラン大佐は、「航空戦力が不足している場合は他の戦力で補えば良い」と主張しています。

ウクライナは戦術を修正し、戦場環境に適した形にする

ウクライナとロシアの戦争では、ロシア軍の航空戦力が十分に活用されておらず、ロシア軍はセベロドネツクやリシチャンシクを制圧し、リマンやバフムートを占領しています。したがって、「F-16がなければ攻勢が成功しない」という考えは誤りです。ウクライナは提供されたアドバイス、訓練、戦術をベースにしながら、戦場環境に適した形に修正するでしょう。

欧米はウクライナに諸兵科連合作戦を教えた

米国やNATOはウクライナ軍に「近代的な諸兵科連合作戦」を教えましたが、これは制空権の確保を前提としたものではありません。欧米はウクライナが接近拒否が成立した戦場で機能するように工夫することを期待しています。ウクライナと欧米は、ロシア軍がやってのけたことをよりスマートに再現する戦術を取り入れようとしています。

航空戦力の不足は現実的な問題

ロシア軍の防衛ラインを突破するには「大規模な航空戦力」が必要ですが、短期間でそれを供給することは現実的ではありません。現在の反攻作戦を「航空戦力の不足で失敗した」と批判するのは、「米軍と同じ手段をウクライナに持たせろ」と言っているのと同義です。実現不可能な要求であることは誰もが理解しています。

引用元:日本ニュース24時間

※アイキャッチ画像の出典:U.S. Air Force photo by Master Sgt. Tristan McIntire