英仏海峡での密入国に悩む英政府
ロンドン=蒔田一彦:フランスから英国への密入国が小型ボートを使って続いており、英政府はその対応に苦慮しています。1週間で1600人以上の不法移民が確認され、またボートの沈没事故で6人が亡くなるという悲劇も起こりました。スナク政権は対策を強化していますが、効果はまだ不十分です。
小型ボートに乗っての密入国
沈没したボートには65人以上の定員を超える人々が乗っていました。主にアフガニスタン人とスーダン人が多くを占めていたそうです。英政府の統計によれば、10日には756人の不法移民が小型ボートで英仏海峡を渡り、これは今年の最多記録となりました。12日にも509人が確認されました。天候も穏やかであり、「仏当局者の数が休暇中で少なかったため、海岸警備が十分でなかった可能性」(英紙タイムズ)も指摘されています。
移民数の増加傾向と状況
2018年に始まった小型ボートを使った密入国は、年々増加し続けており、2022年には約4万6000人にも上りました。今年も既に約1万7000人の移民が確認され、この月だけで10万人を超えました。中東やアフリカの英植民地から英国に移住した人々の中には英語を話す者も多く、英国への移住を望む人々も多いため、密入国を取り仕切る犯罪グループの活動が盛んになっています。
スナク首相の挑戦
今年1月、スナク首相は不法移民問題を政権の最重要課題の一つと位置づけ、3月に行われたマクロン仏大統領との首脳会談でも取り締まりの強化で合意しました。スナク首相は来年の総選挙に向けたアピールのためにも、この問題にしっかりと取り組みたいと考えています。
政府の対応が不十分?
今回の沈没事故を受けて、不法移民問題が再び注目を浴びています。与党の保守党内からも政府の対応が不十分だとの声が上がっています。タイムズ紙は「スナク首相にとってさらなる公約に向けたプレッシャーになるだろう」と指摘しています。
参照リンク:日本ニュース24時間