松田聖子、紅白歌合戦に5年ぶり復帰へ 愛娘の死を乗り越え、母としての新たな輝き

12月28日、NHKは『第76回NHK紅白歌合戦』に歌手の松田聖子(63)が特別企画で出場することを発表しました。5年ぶりの紅白復帰となる松田聖子は、デビュー曲である『青い珊瑚礁』を披露する予定で、「私にとって初出場時の大切な原点と言える曲です」とコメントを寄せています。当初、白組のMrs. GREEN APPLEが大トリと見られていましたが、松田聖子が紅組と白組の対戦後に歌唱することが明かされ、事実上の“大トリ”として大きな注目を集めています。曲順発表後の大トリ更新は異例中の異例と言えるでしょう。

愛娘の急逝から活動休止、そして再始動へ

松田聖子は、昭和から令和にかけて紅白歌合戦の常連として知られていました。しかし、2021年12月18日、愛娘である神田沙也加さん(享年35)が急逝したことを受け、紅白歌合戦から遠ざかっていました。沙也加さんの死後、松田聖子はディナーショーや紅白歌合戦への出場を相次いでキャンセル。札幌で行われた沙也加さんの葬儀では、元夫の神田正輝さん(75)と共に取材に応じましたが、心身ともに憔悴しきっており、人前で歌えるような精神状態ではなかったと伝えられています。

しばらくの活動休止期間を経て、2022年に松田聖子は本格的にアーティスト活動を再始動させました。同年4月からのディナーショーを皮切りに、全国ツアーを行うなど精力的な活動を続けています。しかし、時には沙也加さんへの深い思いが溢れ出す場面も見られました。2022年11月、初監督を務めた映画『あの風が吹いた日』の特別上映会とトークショーでは、作品の内容が「死」に直面するストーリーであったことから、松田聖子自身も沙也加さんを思い出してしまったようです。トークショー中には涙声で「天国はお花畑があって、とても良いところだと思うんです。だから、ヒロインも沙也加も幸せにしているんだ」と語り、最後には「沙也加に会いたい!」と泣き崩れる場面もありました。ファンは温かい拍手を送り、彼女を勇気づけました。

45周年を前にした公私にわたる飛躍

ファンの支えを受け、松田聖子は前向きに歩みを進めました。特にデビュー45周年を目前に控えた2024年は、公私ともに大きな節目を迎えています。同年2月にはアルバム『SEIKO JAZZ3』をリリースし、3月には『MUSIC FAIR』(フジテレビ系)に約4年ぶりに出演。さらにプライベートでは、かねてからの願いであった「還暦を迎えるまでに大学卒業資格を取得したい」を実現し、中央大学法学部通信教育課程を卒業しました。沙也加さんを亡くした悲しみを忘れたいという思いから、多忙な活動の合間を縫って学業に集中していたといいます。

この間、婚姻関係を解消してから約30年が経つ元夫の神田正輝さんとの間にも、交流が再開していました。互いに愛娘を亡くした悲しみを共有する中で親交を深め、2024年6月4日号では、松田聖子が神田さんに差し入れをしていたことが報じられています。2023年春頃から、神田さんが出演する『朝だ!生です旅サラダ』(テレビ朝日系)での「激痩せ」が懸念され、同年11月には「体のメンテナンス」を理由に約2カ月間の休養をとるなど、体調が心配されていました。メディアで神田さんの激痩せが取り上げられると、松田聖子の差し入れ回数も増え、手作りの煮物を届けるなど、彼の健康を気遣っていたとのことです。神田さんも同番組で「昔の奥さん、久留米……」と話題にするなど、良好な関係性を築けていたことがうかがえます。

ステージで熱唱する歌手の松田聖子ステージで熱唱する歌手の松田聖子

NHKの粘り強い交渉と「マイ・ベスト・SEIKO」

沙也加さんが亡くなってから今年で4年が経ち、松田聖子は時間をかけてゆっくりと輝きを取り戻してきました。アニバーサリーイヤーを締めくくる紅白歌合戦は、彼女にとって最高の舞台となるでしょう。松田聖子が2021年に出場を辞退して以来、NHKは毎年粘り強く紅白出場を交渉し続けていました。しかし、松田聖子にとって紅白は、2011年に沙也加さんと共演した「思い出の場所」でもあります。愛娘を失った喪失感は大きく、なかなか復帰は実現しませんでした。

しかし、2024年6月に放送された特別番組『NHK MUSIC SPECIAL 松田聖子 マイ・ベスト・SEIKO』が状況を変えたようです。この番組で松田聖子はナビゲーターを務め、紅白歌合戦のアーカイブ映像を紹介する場面もあり、大きな反響を呼び8月には再放送されるほどでした。今回の5年ぶりの紅白出場を巡っては、一部スポーツ紙で「松田聖子さんは一度断ったものの、最高のステージを用意することが決まった」と報じられています。関係者の間でも、12月中旬頃から松田聖子が紅白に出場するという噂が広まっていました。曲順発表後の“大トリ”更新は極めて珍しく、間違いなく今年の紅白歌合戦最大の目玉企画となることでしょう。

失意の淵から立ち上がり、アニバーサリーイヤーに紅白歌合戦へと復活する松田聖子。彼女がどのようなパフォーマンスで視聴者を魅了してくれるのか、そのステージに期待が集まります。