過労自殺した若手医師、長時間労働の指示を否定した病院側への遺書

高島さんが両親に宛てた手書きの遺書

神戸市東灘区の「甲南医療センター」の専攻医であった高島晨伍さん(当時26歳)が、過労自殺したという問題があります。遺書には、高島さんが生前に母親に吐露していた仕事に追い詰められていく心情が綴られています。病院側は長時間労働を指示したことを否定しており、遺族は疑念を抱いています。

「土日も行かないと回らない」

高島さんが両親に宛てた遺書には、次のように書かれています。「知らぬ間に一段ずつ階段を上っていったみたいです。お母さん、お父さんのことを考えて、こうならないようにしていたけれど、限界です」と。そう綴られています。

母親の淳子さん(60)によると、高島さんの父親は消化器内科の医師であり、高島さんは中学生の頃から医師を目指していたそうです。同僚によると、高島さんは2020年4月にセンターの研修医になった後、内視鏡の操作の練習などに熱心に取り組んでいたとのことです。

しかし、専攻医になる直前の2022年2月頃からは、救急対応などで深夜までの残業が続くようになりました。高島さんは淳子さんに対して「朝5時半に起きてタクシーで出勤し、午後11時に帰宅している」「土日も行かないと業務が回らない」と話していたそうです。

淳子さんは心配して神戸市の高島さんの自宅を訪ねたところ、4月以降は部屋が散らかり、高島さんの口数も減っていました。診療の忙しさと学会での発表資料作成の重なりから、「しんどい、しんどい、疲れた。2月から休みなしや」と愚痴っていたそうです。

母親「息子を守れなかった」

高島さんが使っていた白衣を手に、淳子さんが思いを語る様子(大阪府内で撮影)。淳子さんは亡くなる2日前に高島さんと会った際に、「今週締め切りの学会の資料ができない。あかんあかん」と取り乱し、休職を提案しました。しかし、高島さんは「休職したら職場に戻れない」と受け入れなかったようです。

5月17日の昼、高島さんから淳子さんに届いたメールには、「変な気を起こさないようにするから」という言葉が書かれていました。しかし、返信や電話にも反応がなく、淳子さんが自宅に向かうと、クローゼットで高島さんの亡骸を見つけたのです。

この事件について、甲南医療センターは長時間労働を否定していますが、遺族は疑念を抱いています。高島さんの過労自殺は、医療現場での長時間労働の問題を再び浮き彫りにしました。亡くなった高島さんのご冥福をお祈りいたします。

参照リンク: 日本ニュース24時間