ウクライナ侵攻により、IBCSに関心を持つ欧州8ヶ国が増加

ドイツ、ルーマニア、ギリシャ、スイス、オランダ、スペイン、デンマーク、スウェーデンがIBCSに興味を持つ

ウクライナ侵攻の影響で、統合防空向けの指揮統制システムに注目が集まっています。ノースロップ・グラマンによると、「IBCSに関心を示したドイツ、ルーマニア、ギリシャ、スイス、オランダ、スペイン、デンマーク、スウェーデンが接触してきた」と明かしています。

米陸軍の指揮統制システム「IBCS」について

米陸軍は、2004年に統合防空向けの指揮統制システム「IBCS=Integrated Air and Missile Defense Battle Command System」の開発を始めました。このシステムは、陸軍が保有するセンサーとシューターを統合運用するためのものです。

完成すれば、センサーやシューターの間の垣根を越えて統合される予定でした。しかし、2018年になって陸軍は、他のセンサーやシューターも統合できると判断しました。そのため、新たな拡張要素を組み込む必要があり、IBCSの完成は4年遅れることになりました。しかし、今年の4月にフルレート生産への移行が承認され、2024会計年度からIBCSの導入が本格化する予定です。

LTAMDS

出典:raytheon Lower Tier Air and Missile Defense Sensor=LTAMDS

ただし、ポーランドはシステムの完成を待たずにIBCSを導入することを決定していました。今年の始めには、IBCSのフィールド機器を取得し、先週、初期運用能力の獲得を宣言しました。

リトル・ナフレ

出典:Ministerstwo Obrony Narodowej リトル・ナフレ

ノースロップ・グラマンによれば、ウクライナ侵攻により、巡航ミサイル、弾道ミサイル、極超音速ミサイルへの対処能力の重要性が認識され、IBCSへの関心が高まっています。ドイツ、ルーマニア、ギリシャ、スイス、オランダ、スペイン、デンマーク、スウェーデンがノースロップ・グラマンに接触し、IBCSのデモンストレーションを行ったそうです。

これらの国々がIBCSを導入するかどうかは不明ですが、オーストラリアは提案されているIBCSについて間もなく決定を下す予定です。また、英国と日本も統合防空のためのソリューションを探しており、ノースロップ・グラマンは「まもなく日本は統合防空に関する情報提供依頼書(RFI)を発行する可能性が高い」と述べています。

ちなみにIBCSは、米国製以外のセンサーやシューターとも接続することができます。ポーランドは、独自の防空システム「ナレフ・プログラム」とパトリオットシステムをIBCSに統合して運用する予定です。ただし、米国の承認が必要で、交渉が行われています。IBCSは比較的オープンな指揮統制システムと言えますが、独自の防空システムを統合するためにはソースコードを開示する必要があります。

ポーランドは、CAMMを発注し、前例のない技術移転で英国が19億ポンドの契約を獲得しました。また、訪米中のポーランド首相は、JASSM-XRの取得や劣化ウラン弾の国内生産にも言及しました。さらに、日本も極超音速兵器に対処するために、パトリオットのレーダーをLTAMDSで更新する予定です。

※アイキャッチ画像の出典:Northrop Grumman

参考リンク:https://grandfleet.info/us-related/eight-european-countries-interested-in-ibcs/