ニジェールは3年以内の民政移行を提案、ECOWASは受け入れず

ECOWASとニジェールの協議で緊張が高まる

ニジェールの軍事介入を回避するために、ECOWAS(西アフリカ諸国経済共同体)とニジェールは20日に協議を行いましたが、ECOWAS側はニジェールの軍事政権が提示した「3年以内の民政移行」を受け入れないと述べました。このことにより、西アフリカ地域の緊張が高まっています。

ニジェールで発生したクーデターの経緯

ニジェールでは7月26日にクーデターが発生し、大統領警護隊の兵士たちがバズム大統領を拘束し、「祖国救済国家評議会(CNSP)」を樹立する宣言をしました。チアニ将軍が新たな元首に就任し、ニジェール軍のイサ参謀総長も「致命的な内部衝突を避けるためCNSPを支持する」と表明しました。しかし、ECOWASはニジェールの軍事政権を認めず、「10日以内に民主的に選出された政府=バズム大統領による統治を回復させなければ軍事介入もあり得る」と通告しました。

ECOWASの対応と周辺国の動き

この通告に対して、マリとブルキナファソの軍事政権はニジェールの軍事政権を支持し、「周辺国による軍事介入を自らへの宣戦布告とみなす」と宣言しました。しかし、ECOWASのオマール・トゥーレイ委員長は10日に「ニジェールの秩序を回復させるためECOWASの待機部隊を直ちに配備するよう命じた」と発表しました。また、コートジボワールのワタラ大統領も「ECOWASの指導者たちはニジェールに軍を派遣することを承認した。この軍事介入はできるだけ速やかに行われるだろう。コートジボワールも850名から1,000名規模の大隊を派遣する」と述べました。

ECOWASとニジェールの今後の展望

19日にはECOWASの参謀総長会議が開催され、アブデル・ファタウ・ムーサ安全保障担当委員は「まだ調停団の派遣を準備している最中なので対話の扉を完全に閉ざしたわけではないが、終わりの見えない対話に付き合う気はなく、命令が下されればいつでも出動する用意があり、作戦開始日=D-dayも既に決定されている」と述べました。20日にはECOWAS側の調停団とニジェール側が会談し、「3年以内に民政に移行する」とCNSPが約束したようですが、ムーサ安全保障担当委員はBBCに「長期的な移行をECOWASは受け入れない」と語ったと言われています。

ECOWAS
出典:ECOWAS

ニジェールの姿勢と情勢の動向

ニジェール側は「戦争を望んでいないものの、外国の介入には戦う覚悟がある」と述べており、ロイターによれば「何千人ものニジェール人が軍事介入に備えて首都のスタジアムに義勇兵の登録に来たが、数が多すぎて登録手続きができなかった」と報じられています。

ECOWASによるニジェールへの軍事介入の作戦開始日=D-dayが発表され、ニジェール側は戦争ではなく対話を望んでいるものの、ECOWASは武力を選択しニジェールへの軍事介入を命じています。現在、情勢の動向が注目されています。


出典:ニジェールは3年以内の民政移行を提示、ECOWAS側は受け入れない