アウディーイウカの戦い、ロシア軍が週末に攻勢を仕掛けて線路を横断か

アウディーイウカでの戦況が続く中、ウクライナのDEEP STATEは5日、ロシア軍が週末に大攻勢を仕掛け、アウディーイウカの線路を横断しようとしている報告を発表しました。一部の兵士が線路の西側地域に足場を築こうとしているようです。現在の圧力を考えれば、線路の突破は時間の問題となるでしょう。

アウディーイウカの雰囲気はソレダルやバフムートの状況によく似ている

DEEP STATEによると、アウディーイウカ方面では戦況に変化はありません。ウクライナ軍は敵の前線部隊に大きなダメージを与えましたが、まだ主導権を握るには至っていないとのことです。ロシア軍は数的に優位であり、力を残しています。今はミスをしないことが重要なのだそうです。

アウディーイウカ周辺の戦況
出典:GoogleMap アウディーイウカ周辺の戦況/管理人加工(クリックで拡大可能)

一方、ロシアのミルブロガーであるRYBARは、ウクライナ軍がクラスノホリフカ付近の北方向で反撃に成功したと報告しています。ロシア軍はクラスノホリフカの北西まで押し戻され、一部の線路を奪還されたとのことです。これは数日前にロシア軍がノボカリノベ付近の突出部に足場を築いたと考えられますが、具体的な場所は言及されず、視覚的な証拠も提供されていません。したがって、前線の位置に変化はありません。

さらにRYBARは、ロシア軍が0505ルートに沿って前進し、「グルシェフスコゴ通り」に到達しつつあると主張しています。グルシェフスコゴ通りは、アウディーイウカ市内にある主要な通りのことですが、これを裏付ける視覚的証拠はまだ登場していません。現時点では状況を様子見している状況です。

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— German_Observer (@GermanObserver1) November 4, 2023

アウディーイウカ南部では、ウクライナ軍がコークス工場付近の線路沿いでロシア軍兵士に対して攻撃しているようです。この情報はドイツのオブザーバーの報告によって証明され、さらにアウディーイウカ南部のロシア軍が掘ったトンネルによってウクライナ軍陣地が爆破される様子が報告されています。

一方で、ウクライナ人ジャーナリストのブトゥソフ氏は、「ロシア軍がアウディーイウカ方面で新たな攻勢の準備をしている。状況は危機的で新たな増援が必要とされている」と述べています。これは興味深い報告です。

ウクライナ軍の防衛ライン
出典:Сухопутні війська ЗС України

ブトゥソフ氏は、「新たに編成された一部の部隊の配備先には基本的な塹壕さえなく、敵の砲弾が降り注ぐ中、遮蔽物もない土地に塹壕を掘らなければならない」と述べ、ウクライナ軍には土木設備が存在しないようです。それに対して、ロシア軍は前線に近い場所に土木設備を配備し、予備戦力を安全に移動させるために防衛陣地を構築しています。しかし、アウディーイウカの最終防衛ラインである線路沿いには何も構築されていないことが指摘されています。ブトゥソフ氏は、この点を批判しました。

同氏はさらに、「ロシア軍とは対照的にウクライナ軍には土木設備が存在しないかのようだ。もしコンクリートで固められた塹壕や防御陣地が用意されていれば、アウディーイウカが現在のような危機に直面することはなかったでしょう」と指摘しています。

アウディーイウカの軍事地図
出典:БУТУСОВ ПЛЮС

アウディーイウカの南方には、E50沿いに建設された塹壕や防御陣地があり、強固な防衛ラインが維持されています。しかし、ヴェルニョトレツキーからニューヨークへの線路以降の側面は比較的手薄な防衛です。

ロシア軍の包囲はじわじわと進んでおり、クラスノホリフカからアウディーイウカに前進することは予測されていましたが、アウディーイウカの最終防衛ラインである線路沿いに塹壕や防御陣地を建設(増強)しなかったという報告が真実なら、ウクライナ軍は油断しすぎていたと言えるでしょう。

一方、ブトゥソフ氏は、「追加の予備戦力、弾薬、スペアパーツの供給が行われ、敵の高い損耗率が今後も維持されれば、アウディーイウカの戦いは我々が勝つだろう。兎に角、現在ある防衛ラインを守ることが重要で、アウディーイウカは利用可能な全ての戦力と物資を必要としている」と述べています。アウディーイウカはこの冬最大のホットスポットとなることは間違いありません。

追記:DEEP STATEは5日、「敵はステポヴェ方向に圧力をかけ続けている。土曜日から日曜日にかけてロシア軍は大挙して線路を横断し、砲撃を生き延びた一部の兵士が線路の西側地域に足場を築こうとしている。現在の圧力を考えれば線路を突破されるのは時間の問題だった。さらにシェベルネ方向やトネネキー方向の状況はステポヴェ方向よりも遥かに困難で、敵は止まることなく毎日のように攻撃を続け、部分的に成功を収めている。敵はシェベルネやトネネキーに可能な限り接近し、予備戦力の支援を受けて集落自体を攻撃することが目標だ」と報告しました。

まだ視覚的な証拠は登場していませんが、この雰囲気はソレダルやバフムートの状況によく似ており、最近ではウクライナ軍にとってポジティブな要素は見当たりません。

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※アイキャッチ画像の出典:Генеральний штаб ЗСУ

記事の元のリンク先:https://grandfleet.info/war-situation-in-ukraine/battle-of-avdiivka-russian-troops-launch-offensive-over-weekend-to-cross-railroad-tracks/