とよた真帆「夫・青山真治との早すぎる別れ。漠然とした予感はあったが、相手を変えることはできなかった」

予感していた早すぎる別れ

2022年3月21日、私の夫が亡くなりました。彼を見送ってからの日々は、あっという間だったような気もしますし、別れた日が遠い過去のようにも感じます。

頸部に食道がんが見つかったのは2021年春でした。腫瘍はかなり大きくなっており、手術をすると声帯まで摘出する必要があることがわかりました。私はやはり声を残したいと思いました。そのため、腫瘍を小さくするための抗がん剤や放射線治療を受けることにしました。

治療の結果、がんが小さくなり、2021年12月には声帯の患部をほぼ完全に除去することができました。本当に良かったです。

しかし、喜び合った後わずか1ヵ月もしないうちにがんが再発し、転移してしまいました。彼が57歳の時に亡くなったので、本当に早すぎる別れだったと感じます。

実は、夫は8年前にも入院したことがありました。その時も、私たちは大きなショックを受けました。彼の心臓の弁が壊れ、心臓に水が溜まり、救急搬送されました。医師からは「3日間が峠です」と言われ、彼の状態がいつどうなるかわかりませんでした。

彼は集中治療室に30日間入院しましたが、何とか無事に回復しました。退院後はお酒をやめましたが、1年ほど経つとまた飲むようになりました。

夫はお酒とたばこを辞められない人でした。そして、彼は不器用ながらも、ひとつのことに集中し、突き詰めていくタイプでした。それが彼の生き方だったのでしょうね。私はもっと彼の健康を心配していたのですが、結局は夫を変えることはできませんでした。

「身体に気をつけてね」「そんなことしていると病気になるよ」と私は繰り返し言いましたが、疲れ果ててしまいました。最終的には、「わかった。真治君の人生だから、もう言わない」と諦めるしかありませんでした。

こんな不摂生をしていたら、長生きはできないだろうと漠然とした予感がありました。だから、がんが見つかった時も、私はやり切れない複雑な気持ちになりました。とても切ない思いです。