自分の居場所がないと感じるウクライナの兵士たちが兵役を逃れて海外へ

戦場を離れたいという願い

ウクライナのイワン・イシチェンコさん(30)はロシアの侵攻に立ち向かうため志願して従軍しました。しかし、前線に送られてから1か月後、心情は変わりました。大金を払い、懲役のリスクを冒してでも逃げ出したいと思うようになったのです。

戦場の現実に直面して

イシチェンコさんは「参戦するまでは、自分はスーパーヒーローだと思っていた。しかし、戦場を目の当たりにして、自分の存在意義を見失いました」と打ち明けました。

彼はさらに続けて「私は脾臓を撃たれた人を見たことがあります。彼は痛みの中で苦しみながらうごめいていました。斬首された頭部も見ました。そのような光景が次々に積み重なり…もうこれ以上、見たくありませんでした」と述べました。

脱走の決断

そしてある日、イシチェンコさんは母親を除く誰にも告げずに脱走し、ウクライナを出国しました。

彼の行動は彼だけのものではありませんでした。

ロシアの侵攻が始まると、ウクライナでは18歳から60歳の男性の出国が禁じられました。多くの国民が愛国心に燃えて戦闘に参加しましたが、一部の人々は社会的な圧力や当局からの警告を受けても戦闘を拒否しました。

イシチェンコさんは5000ドル(約70万円)を支払い、政府関係者用のナンバープレートを付けた車で自身を国境の森まで運んでもらいました。そして、国境フェンスに開いた穴から出国しました。

国境警備隊のアンドリー・デムチェンコ報道官によれば、侵攻開始以降、検問所以外の場所から国外に出ようとした1万3600人が当局に拘束されたとのことです。また、偽造文書を使用して国外脱出を試みた6100人も拘束されました。ほとんどが徴兵対象年齢の男性だったとのことです。

政府関係者によると、具体的な数字はわかりませんが、徴兵逃れや脱走兵は相当数存在しているようです。

罰則の強化と汚職の摘発

ウクライナ政府はロシア軍との戦闘で苦戦を強いられている一方で、徴兵逃れをめぐる汚職の取り締まりにも着手しています。罰則は法改定により、徴兵逃れに対しては5年以下の懲役、脱走兵に対しては12年以下の懲役が科されることになりました。

今年8月には、全州の徴兵責任者が解任されました。捜査当局によると、「ほぼ全ての州で大規模かつ組織的な汚職が発覚した」とのことです。

今年5月、24歳の男性は5000ドルを支払い、偽の診断書を入手して兵役を免除され、国外へ脱出しました。彼は「徴兵逃れの手段は誰でも知っています。皆、友人や知人から選択肢を提案されています」とコメントしています。

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