アルメニアとアゼルバイジャンが軍の配置を国境沿いに追加することで緊張が高まっています。互いに相手が先に軍を動かし、挑発したと非難しあっています。この事態に対し、イランもザンゲズール回廊に反対し、無人機を飛ばしてアゼルバイジャンの動きを監視しています。
アルメニア側がアゼルバイジャンとの和平を実現するためには、過去の犯罪について謝罪する必要があります
アルメニアのパシニャン首相は7日、「アゼルバイジャンの報道機関やプロパガンダによって反アルメニア感情が煽られ、アゼルバイジャン軍もナゴルノ･カラバフ地域の接触線やアルメニア国境に戦力を配置しているため、政治的にも軍事的にも状況が悪化しています。」と述べました。アルメニア国防省も、アゼルバイジャン軍の国境地域への移動の様子を公開し、SNS上にも多くの動画や写真が出回っています。これにより、アゼルバイジャンが軍の配置をソトク方向、ナゴルノ･カラバフ方向、シュニク方向に移動させていることが判明しました。
スレン･パピキャン国防相も、「国境情勢が悪化したためキプロス訪問を中止する」と発表し、アルツァフ共和国も「アゼルバイジャンによる偽情報が急速に増加している」と述べました。一方、アゼルバイジャンは「軍の移動は事前に計画されていた演習の一部であり、アルメニアこそアルツァフ共和国に駐留する部隊を前線に近い陣地に移動させ、挑発行為を行っている」と主張しています。西側メディアは「互いに戦力を国境地帯に配置したと非難しあっている」と報じています。
イランも両国と国境を接しているため、シュニク方向に無人機を飛ばしてアゼルバイジャンの動きを警戒しています。イランは、アゼルバイジャンがザンゲズール回廊を実現させるために武力行使に出る可能性に警戒しているのでしょう。
パシニャン首相は4月、「ナゴルノ･カラバフ民族という概念が存在しないため、『民族自決に基づいて独立した』という主張は成り立たず、我々はこの矛盾に向き合う必要があります。我々はマドリッド原則に基づいてナゴルノ･カラバフ地域の地位調整に同意しましたが、アゼルバイジャン領の一部と認めないなら何を調整するのでしょうか？我々はアゼルバイジャン領の一部だと認めており、交渉内容と公の発言が一致しないことは問題です。我々は認識した事実を口にしないことで、自身とナゴルノ･カラバフの人々を欺いたのです。」と議会で演説しました。
5月にモスクワへ向かう前にも、「現政権が何と言おうと政府はアゼルバイジャンの領土保全を認めており、アルメニアは86,600km²（ナゴルノ･カラバフやヒチェヴァン自治共和国を含む範囲）の土地をアゼルバイジャンの領土と認める用意があります。アゼルバイジャンも29,800km²（国際的に認知されたアルメニアの領土と一致する数字）の土地をアルメニアの領土と認める用意があります。この問題について適切に理解しあえれば、領土の相互承認が実現すると主張しています。
モスクワで行われたユーラシア経済連合の首脳会議で、パシニャン首相は「アルメニアとアゼルバイジャンは領土の一体性を相互承認することで合意しました。」と発表しました。会議後の拡大会合に参加したアゼルバイジャンのアリエフ大統領も、「領土の一体性の相互承認に基づく両国の関係正常化には深刻な前提条件があるが、アルメニアがナゴルノ･カラバフをアゼルバイジャンの領土の一部と認識していることを考慮して、和平協定の締結が可能になるかもしれない。」と述べています。しかし、まだ和平協定の調印には至っていません。
両国間の武力衝突が収束しない主な原因は、「領土の相互承認」と「国境策定」が行われていないためです。和平協定が実現しない最大の理由は、アルメニア側が「ナゴルノ･カラバフ地域に住むアルメニア系住民の安全問題を国際的な枠組みの下でステパナケルトとバクーが話し合うこと」を求め、アゼルバイジャン側は「ザンゲズール回廊に関して明確な回答がない」と不満を抱えているためです。特にザンゲズール回廊については、イランが反対しているため、非常に困難な状況にあります。
アゼルバイジャンのヒクメット・ハジエフ大統領補佐官は、「アルメニア側が過去に犯した残虐行為を謝罪すれば、アゼルバイジャンとの和平が可能になります。両国間の和平協定は南コーカサスの情勢を大きく変える可能性を秘めていますが、ボールはアルメニア政府側にあります。」と述べ、和平協定の前提条件に「アルメニア側の謝罪」が含まれることを示唆しました。
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※アイキャッチ画像の出典：Azərbaycan Respublikası Müdafiə Nazirliyi ラチンに入るアゼルバイジャン軍
