緊張高まる南コーカサス、イラン大統領はどんな変化も認めない

現在の状況がどれほど深刻化するかは謎だが、この局面で新たな戦争を避けたい

アルメニアとアゼルバイジャンが国境沿いに軍隊を移動させ、南コーカサス地域の軍事的緊張が高まっている。この中で、アルツァフ共和国は大統領選挙を実施し、イランのライシ大統領も「この地域で何が起ころうとも決して容認しない」と発言した。

アルメニアとアゼルバイジャン、選挙結果を巡る対立が続く

アルメニアとアゼルバイジャンは国境沿いに軍隊を移動させたことについて互いに非難し合っている。アルツァフ共和国は大統領選挙を強行し、新たな大統領を選出した。アゼルバイジャン側はこれを「極めて挑発的な行為だ」と非難しており、ウクライナも同様の問題を抱えており、ナゴルノ・カラバフ地域の大統領選挙を非難している。EUも選挙結果を認めず、無効と主張している。

南コーカサスの地図
出典:Google Map 管理人作成

  • Ⓐ=アゼルバイジャン軍がソトク方向に軍隊を移動(視覚的には未確認)
  • Ⓑ=アゼルバイジャン軍がヴァヨツ・ゾル方向に軍隊を移動(視覚的には未確認)
  • Ⓒ=アゼルバイジャン軍がシュニク方向に軍隊を移動(視覚的には未確認)
  • Ⓓ=アゼルバイジャン軍がナゴルノ・カラバフ地域に軍隊を移動
  • Ⓔ=アルメニア軍がテグ方向に軍隊を移動
  • Ⓕ=イラン軍がナヒチェヴァン方向に軍隊を移動
  • Ⓖ=イラン軍の無人機がシュニク方向でアゼルバイジャン軍の動向を監視(視覚的には未確認)

イランとトルコも関与の可能性

イランとトルコも南コーカサス地域の状況に介入する構えを見せている。ライシ大統領はパシニャン首相と会談し、「イランにとってこの地域で何が起ころうとも決して容認しない」と述べた。アルメニアは米国との軍事演習を発表し、安全保障政策の多様化を打ち出している一方、アゼルバイジャンはザンゲズール回廊を要求している。この状況に対して、イランとトルコが関与する可能性がある。

イラン軍のアラス川渡河訓練
出典:イランメディアのスクリーンショット イラン軍によるアラス川の渡河訓練

トルコ外相の発言も注目される

トルコのフィダン外相が「イランが状況に加われば、トルコ軍は即座に対応する」と発言したという話も飛び出しているが、情報の出所が怪しいため真偽の程は不明である。

南コーカサスの緊張が高まる一方、関係国が牽制し合う

南コーカサス地域は軍事的、政治的にも緊張が高まっている。トルコはこの状況を静観するわけにはいかず、イランも南コーカサス地域におけるアメリカの影響力やアゼルバイジャンとトルコがザンゲズール回廊で結びつくことを容認しない意向を示している。一方、ウクライナで戦争に忙殺されているロシアも、イランと手を組んで安全保障環境を不安定にし、安全保障政策の多様化を妨げることで、他国の介入を防ぐ意図があるかもしれない。

ザーハリン島上空を飛行するロシア軍の爆撃機
出典:Kremlin.ru / CC BY 4.0

現在の状況がどれほど深刻化するかは不明だが、この局面で新たな戦争が勃発することは避けたい。南コーカサス地域では、アルメニアとアゼルバイジャンが軍を国境地域に移動させる中、緊張が高まっている。アルメニア首相がアゼルバイジャンとの領土の相互承認で合意したことを発表し、ロシア軍はラチン回廊の封鎖解除を要求している。アゼルバイジャン、アルメニア、イランの間で一触即発の状況が続いており、NATOはウクライナ侵攻によって団結し、CSTOはロシアの失墜により崩壊の危機に瀕している。アルメニアでは数千人規模の抗議集会が行われ、ナゴルノ・カラバフを敵に売り渡すことに反対している。イランはアゼルバイジャンとの国境で大規模な軍事演習を行っており、焦点はザンゲズール回廊に置かれている。

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