公明党は21日投開票の参院選で、比例代表の得票数は653万6336票となり、28年の前回比で約104万票減らした。選挙戦全体では14議席を獲得し、非改選と合わせれば参院で過去最多の28議席を占めたが、戦果は過去2番目に低い低投票率に支えられたとの見方がもっぱらだ。支援者の高齢化などが影響しているとみられ、党内では危機感が高まっている。
公明党が比例で100万票以上を減らしながらも、目標の「6議席以上」を上回る7議席を獲得できたのは、比例の投票率が48・79%と低迷したことで、得票総数が減っても、党の得票率(13・1%)の下げ幅が3年前と比べて0・4ポイント減にとどまったからだ。
山口那津男代表は22日、記者団に「得票率では健闘している。それは議席にも表れている」と強調したが、別の幹部は「深刻に受け止めている」と表情を曇らせる。
支持母体の創価学会を中心に徹底した組織戦を展開する公明党にとって、低投票率は有利に働くとされる。選挙戦の注目度にかかわらず、公明支持層の投票率は高いからだ。それだけに、ある党幹部は「本来なら、ここで公明が得票率を上げないといけなかった」とこぼす。
今回、比例で得票数を大きく落とした要因については(1)統一地方選と参院選が同じ年に行われる12年に1度の「亥年(いどし)選挙」の影響で選挙疲れがあった(2)選挙区に注力するあまり比例代表での活動量が落ちた(3)支援者の高齢化-などがあげられる。
特に高齢化は、組織力を武器にする党の基礎体力をそぐことになるだけに深刻だ。参院選では、私立高校授業料の実質無償化など若者が共感しやすい公約を中心に掲げたが、若者層の支持開拓につながったかどうかは見通せない。
「党の発信力をどう高めていくかが一つの課題だ」
山口氏は25日、参院選の結果を受けた党の会合でこう述べ、若者層に影響力の強いSNS(会員制交流サイト)を活用した発信力の強化策を検討するよう指示した。
29年の衆院選では比例の得票数が落ち込み、前回比で6議席減につながった。仮に、次の衆院選を高投票率で迎えた場合、基礎体力が右肩下がりの現状では厳しい結果が予想される。公明党は今後、各地で夏季議員研修会を開き、組織の立て直しを急ぐ。(大橋拓史)
【参院選】共産党、比例は150万票減 「相互推薦・支援」うやむやで政権批判票離れ