7月8日、自民党の鶴保庸介参議院議員が和歌山市内で開催された集会において、「運のいいことに能登で地震があった」と発言し、この発言が大きな波紋を広げています。この問題発言は、特に被災地の人々や国民から厳しい批判を浴びています。
自民党の鶴保庸介参議院議員の顔写真、能登地震に関する発言後に注目される政治家
釈明会見と火に油を注いだ対応
鶴保議員は同日、和歌山市内で開催された参議院選挙の自民党候補を応援する集会で、地方の人口減少対策としての「二拠点居住」に言及する中で問題の発言をしました。この発言への激しい批判を受け、翌7月9日に急遽記者会見を開きました。会見で同議員は、被災地への配慮が足りなかったとして反省の意を示し、発言を撤回しました。しかし、離党を考えているかとの問いに対しては、「私が責任を取ることで皆さんの気持ちが収まるならやぶさかではないが、そこまでは考えていない」と述べ、現時点での進退については明言を避けました。この釈明会見中、時折薄ら笑いを浮かべる場面が見られたことも、さらに批判を招き、火に油を注ぐ結果となりました。自民党内からも批判が相次ぎ、小泉進次郎農相は茨城県内で記者団に対し、「言語道断な発言だ。かばうことはできない」と強く非難するなど、参院選を目前に控えたタイミングでの身内からの「失策」への焦りも伺えました。
度重なる過去の問題発言
実は、鶴保庸介議員の「問題発言」は今回が初めてではありません。過去にも物議を醸す発言を繰り返しています。
沖縄に関する一連の発言
2016年に沖縄・北方担当相を務めた際、米軍普天間飛行場の移設を巡る国と県との対立について「早く片付けてほしいということに尽きる」と述べ、県民感情を逆なでする発言をしました。さらに、沖縄振興予算に関しても「額が減ったとしてもやることはいっぱいある」と予算削減を示唆しました。加えて、「基地の跡地をどうするかというのも振興策。その意味で基地と振興策はリンクしている」と発言。これは、基地受け入れを拒否すれば振興予算を削減するという、いわば「恫喝」ともとれるものでした。同年には、沖縄県で米軍北部訓練場の工事を警備中の大阪府警機動隊員が反対派の人々に差別的な暴言を吐いた際、鶴保議員が「差別と断定できない」と擁護し、これもまた批判を浴びました。なぜ差別的な発言ではないと言えるのか、当時大きな問題となり、鶴保議員の心の奥底に沖縄への差別意識があるのではないか、そのような人物を沖縄・北方担当相にしておいていいのかと、特に沖縄の人々からの反発は非常に大きかったです。
プライベートでの報道内容
プライベートにおいても、過去に報道により物議を醸したことがあります。事実婚関係にあった野田聖子衆院議員との関係解消後、2011年に18歳年下の女性と知り合い、2013年にその女性の妊娠が判明しましたが、その際の同議員の発言も問題視されました。当時これを報じた「デイリー新潮」によると、身重の妻が横になっていると「寝転がるときは俺に断ってからにしろ」と冷たく当たり、お腹が大きくなりゆっくりとしか歩けない妻に向かって「なに、トロトロ歩いているんだ。早く歩けよ」と叱責していたと報じられています。これが事実であれば、典型的なモラルハラスメント(モラハラ)行為を繰り返していたことになります。
政治家としての資質が問われる
今回の一連の問題発言、特に能登地震というデリケートな状況における「運のいいことに」という言葉は、単なる「うっかり失言」では済まされないレベルであり、政治家としての資質そのものが厳しく問われています。過去の沖縄に関する発言やプライベートにおけるとされる報道内容を振り返ると、その言葉の選び方や他者への配慮に欠ける姿勢が繰り返されているようにも見受けられます。鶴保議員の今後の動向に注目が集まっています。