ポーランド大統領、武器支援停止の否定と首相の発言の真実

ポーランド大統領であるドゥダ氏が、武器支援停止の報道を否定しました。彼はポーランドメディア「TVN24」の取材に応じて、「首相の言葉は最悪の形で解釈された。締結済みの契約と事前に合意された武器・弾薬の供給を履行している」と述べました。

ミサイル着弾事件とウクライナへの対応

ポーランドの首相であるモラヴィエツキ氏は、穀物輸出に関連してあるメディアの質問に対し、「自国の軍事力を強化するため、現在はウクライナへの武器支援は行っていない」と答えました。この発言が海外メディアによって「ポーランドが武器支援を停止した」と報じられ、注目を集めました。しかし、政府のミュラー報道官は、「ウクライナへの武器供給は契約締結分と事前に合意された武器・弾薬の納入のみ実行している」と説明しました。

U.S. Army photo by Kevin Sterling Payne
出典:U.S. Army photo by Kevin Sterling Payne

このような報道に対し、ポーランド大統領であるドゥダ氏も「首相の言葉は最悪の形で解釈された」とコメントしています。彼は、「ポーランドの安全保障を強化するために投資している武器や装備を誰かに譲り渡す気はなく、私も米国や韓国から調達している真新しい武器の譲渡には真っ先に反対する」と述べ、さらに「締結済みの契約(KRAB、ロソマク、M120Rak、ピオルンなど)と事前に合意された武器・弾薬の供給を履行している」と強調し、武器支援停止の報道を否定しました。

また、ウクライナ大統領であるゼレンスキー氏の発言についても言及しています。ドゥダ大統領は、「彼は演説の中でポーランドの名前を挙げなかったものの、誰のことを言っているのか我々全員が理解しており、彼の言っていることは不公平な言葉だったと感じて悲しくなった」と述べました。彼は「動揺ではなく憤慨した」と答え、両国関係の影響を最小限に抑える必要があると述べました。彼は、ミサイル着弾事件の時と同じように「ウクライナに対する寛容さ」を示しているのです。

ПРЕЗИДЕНТ УКРАЇНИ
出典:ПРЕЗИДЕНТ УКРАЇНИ

一方、ウクライナのゼレンスキー大統領は、ホワイトハウスに到着した際に「ポーランドの支持を失うことを懸念しているか?」と問われると、「ポーランド国民、ポーランド社会の支援に感謝している。それだけだ」と答え、発言撤回の意思は見せていません。

ポーランド政府は、ウクライナへの武器供給は契約締結分と事前合意分のみを実行しており、ウクライナ大統領の発言は支援国に対して不当で失礼だと主張しています。また、ポーランド政府の高官は、穀物輸出問題がウクライナ支援削減につながる可能性があることを警告しています。

両国の関係が悪化しているなか、ポーランドがウクライナ人難民に対する援助を停止する可能性が示唆されています。また、ポーランドがウクライナ産穀物の輸入を禁止する意向を明らかにし、ウクライナ側はWTOに提訴する可能性が指摘されています。かつて緊密な関係を築いていたポーランドとウクライナですが、穀物輸出を巡る対立によって関係が悪化しています。

各国での報道や発言によって両国関係の影響が広がる中、ポーランドはウクライナ人専門家による爆発現場での調査を許可しない姿勢を示しています。また、ポーランドへのミサイル攻撃について、ウクライナ空軍が関与している可能性を認める発言も行われました。このような情勢の中で、ウクライナが「NATO加盟国を第三次大戦に引きずり込もうとしている」という指摘があり、NATO加盟国の外交官たちはウクライナとの信頼関係が破壊されたと主張しています。

ウクライナとポーランドの関係が大きく変わりつつある中、ウクライナはポーランドとの協力体制を構築しています。具体的には、ポーランド製の自走式迫撃砲「M120Rak」の調達や、陸上自衛隊が採用しているパトリアAMVへの参加などがあります。

以上が、ポーランド大統領による武器支援停止の否定と首相の発言についての真実です。

※アイキャッチ画像の出典:Andrzej Duda
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