ウクライナのミサイル、ロシアの黒海艦隊司令部を直撃

image

ウクライナのミサイルがロシアの黒海艦隊司令部を直撃しました。22日の出来事で、ソーシャルメディア上で投稿された映像には、クリミア・セヴァストポリの司令部から黒煙が上がる様子が映っています。ロシア国防省によると、兵士1人が行方不明になっているそうです。

ウクライナは最近、クリミアへの攻撃を増強しており、防空システムや海軍艦艇2隻にも損傷を与えています。ロシア国防省は防空システムで5発のミサイルを撃墜したと発表しました。ウクライナ軍とつながりのある戦略コミュニケーション・センター「StratCom Ukraine」は、ウクライナが海軍基地攻撃に「成功」したと述べています。

ウクライナ軍関係者によれば、この攻撃にはイギリスとフランスが供与した長距離巡航ミサイル「ストームシャドウ」が使われたとのことで、西側から提供される武器の重要性が強調されました。ウクライナ空軍トップのミコラ・オレシュチュク司令官は、ソーシャルメディアサイト「テレグラム」で「まだまだ続く」と述べています。

ウクライナ軍はロシアが2014年に併合したクリミア半島に駐留するロシア軍に対して、連日のように攻撃を行っています。今月14日には、ウクライナ海軍がロシアが半島防衛に設置した防空システムS-400を破壊したとされ、クリミアにおけるロシアの防衛力が低下していると報じられました。同13日には、セヴァストポリでロシアの大型揚陸艦と潜水艦が攻撃を受け、損傷したとのことです。

クリミアと黒海艦隊への攻撃は戦略的にも象徴的にも重要な出来事です。ロシアはクリミアをウクライナ攻撃の足掛かりにし、ロシア本土とクリミアを結ぶ陸の回廊を作るためにウクライナ南部を重点的に制圧しています。また、黒海艦隊は何世紀もの間、ロシアの軍事的な存在感を象徴してきました。ウクライナは旧ソ連崩壊後の1997年にロシアとの合意に基づき、黒海艦隊の大半を引き渡し、セヴァストポリ軍港の基地を貸与しました。そのため、黒海艦隊は2014年の併合前からロシアによってセヴァストポリを本拠地としてきました。

ロシアのウラジーミル・プーチン大統領は、クリミアが西側陣営の手に落ちるのを防ぐためにクリミアを掌握する必要があったと主張しています。さらに、ロシアはウクライナの食料輸出を阻止するために黒海艦隊を利用して海上輸送ルートに圧力をかけています。

ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領は、この状況下で国連総会出席のためにアメリカを訪れ、ジョー・バイデン大統領や連邦議会の上下両院幹部と会談しました。ウクライナは各国の支援を求めており、その中でカナダを訪問した際には、カナダの首都オタワの議会で演説しました。ゼレンスキー大統領は、ウクライナを支援してくれるカナダに感謝の意を示し、「ウクライナが各国の支援を求めるのは何百万人もの命を救うため」と強調しました。カナダのジャスティン・トルドー首相も6億5000万カナダドル(約714億円)の追加支援を約束し、装甲車やF-16戦闘機の訓練なども含まれるとのことです。

ウクライナを支援する各国が連帯し、ロシアの「偽情報や自分たちの主張をばらまく」試みにはくれぐれも注意しなければなりません。ウクライナとアメリカの間ではさまざまな兵器についての協議が行われており、バイデン大統領との会談で合意がされることを期待しています。

(英語記事 Ukraine hits HQ of Russia’s symbolic Black Sea navy)

日本ニュース24時間