ドイツ経済:再び「欧州の病人」か?中国とロシアへの依存が問題視される

ドイツのショルツ首相が閣議後に記者会見

ひと月ほど前に英経済誌エコノミストに掲載された記事『Is Germany once again the sick man of Europe?(ドイツは再び欧州の病人なのか?)』が話題となっています。

16年間、ドイツは「一人勝ち」と批判され、羨望の的でしたが、今や一転して欧州連合(EU)内の落第生として扱われているのです。

エコノミスト誌が辛辣に指摘するように、ドイツの現状は「戻った病人(the sick man returns)」と言われても仕方のないものに見えます。

「欧州の病人」というフレーズは、EU経済の変遷の中で何度も登場してきた表現です。ドイツだけでなく、イタリアやEU全体にも向けられたことがあります。

初めてこのフレーズが使われたのは1999年で、当時のドイツは東西統合のコストに苦しんでいました。エコノミスト誌は当時、ドイツを「欧州の病人」と揶揄(やゆ)しました。

その後、シュレーダー政権が労働市場改革を行い、単位労働コストを下げたり、「永遠の割安通貨」ユーロに支えられた輸出が加速するなど、ドイツの状況は改善されました。2007年7月にはエコノミスト誌が「もはや病人ではない」と表現しています。

しかし、欧州債務危機の終息後、ドイツは「勝ち過ぎ」を問題視されるようになりました。中途半端な覇権国として周辺諸国から「厄介な存在」と見なされるようになったのです。

ドイツの厄介な振る舞いとしては、中国やロシアへの依存度の高まりが挙げられます。依存度の高まりはユーロ圏に大きなリスクをもたらすと指摘されていましたが、メルケル政権は路線変更を行うことがありませんでした。

また、メルケル政権が2015年に突如として国境を開放し、大量の難民を受け入れたことも、ドイツの厄介な一例です。他のEU加盟国は、難民の受け入れや管理、国境の管理などで大きな負担を強いられました。

ドイツ経済の現状は深刻ですが、これからどのような展開を見せるのか注目が集まっています。

参照リンク: 日本ニュース24時間