露調査メディア、DMG MORIの露法人は軍需産業に製品を売り続けている

独立系の露調査メディア「Агентство」は、DMG MORIが「ロシアからの撤退」と「ウリヤノフスク工場の操業停止」を発表したにも関わらず、操業を続けて露軍需産業や制裁下の露企業に製品を売り続けていると報じています。

ロシアでの活動を継続して同国の軍事的潜在力を支援しているという理由で国際的な戦争支援リスト入り

ロシア人ジャーナリストのロマン・バダニン氏が立ち上げた独立系調査メディア「Агентство」によると、2022年3月にDMG MORI(DMG森精機)は「ロシアからの撤退」と「ウリヤノフスク工場の操業停止」を発表しましたが、「現在も操業を続けてロシアの軍需産業や企業に製品を売り続けている」と報じています。

出典:Минобороны России Su-34を製造するスホーイもユナイテッド・エアクラフトの傘下企業

DMG MORIは2015年にロシアのウリヤノフスク州に工場を建設しました。主な顧客にはロシアの軍需産業企業(ロステック傘下のユナイテッド・エアクラフトとユナイテッド・エンジン)が名を連ねており、ロシア軍によるウクライナ侵攻が始まると「ロシアからの撤退」と「ウリヤノフスク工場の操業停止」を2022年3月14日に発表したとされています。しかし、「そのようなことは一切起こらなかった。DMG MORIのロシア法人=DMG MORI RUS LLCとUlyanovsk Machine-Tool Plant LLCは所有者(ドイツのDMG MORIに雇用されたロシア人が代表者)を変更することなく操業を続けて最低でも200台の工作機械を組み立てた」とАгентствоは指摘しています。

さらに、DMG MORI RUSは子会社を通じてウリヤノフスク工場が組み立てた工作機械、中国企業やインド企業から調達した工作機械や部品を「ロシアの軍需産業企業」や「欧米の制裁下にある露企業」に販売して利益を上げていると報じられています。また、「DMG MORI RUSの親会社=DMG MORIは我々の質問に無回答を貫いた」とアゲンストが報じています。

出典:ウクライナ国家汚職防止庁 INTERNATIONAL SPONSORS OF WAR

ウクライナ当局は、9月20日にDMG MORIを「国際的な戦争支援リスト」に登録しました。その理由は、DMG MORIがロシアでの活動を継続して同国の軍事的潜在力を支援しているからです。ただし、ウリヤノフスク工場は傘下企業のGILDEMEISTER Beteiligungen GmbHに所有権があるため、リストに登録されたDMG MORIは「ドイツ企業」と表示されています。

英国人弁護士によれば、「2022年2月以降もDMG MORIがロシアで活動しているだけで制裁に違反している」というわけではないとのことです。「重要なのは同社がロシアで何をしているかです。もしDMG MORI RUSがDMG MORIの管理下にあり、軍事向けの最終製品や技術の輸入を続けているのであれば、ドイツのDMG MORIは規則に違反していることになります。もしDMG MORI RUSが制裁下にある組織や企業に直接もしくは間接的に製品を販売しても規則に違反します」と指摘されており、このような行為は「ドイツで犯罪行為だ」とも付け加えられています。

追記:ウクライナメディアも「世界最大の工作機械メーカーがロシアの軍需産業をどのように支援しているのか暴露された」と報じ始めています。

116社の西側企業もウクライナ侵攻直前まで露防衛産業企業に製品提供していたそうです。

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