スロバキアの選挙結果、ウクライナ支援に混乱をもたらす可能性

スロバキアで行われた総選挙で「ウクライナへの軍事支援停止」を掲げる政党SMERが勝利しました。これにより、フィツォ元首相が政権復帰すれば、ハンガリーのオルバン首相との緊密な協力関係が築かれ、EUに混乱をもたらすかもしれないとCNNは警戒しています。

SMER、HLAS、SNS以外の政党が協力しても過半数に至らず、フィツォ元首相の政権復帰はほぼ確実

スロバキアでは、ヘゲル首相率いる連立政権がウクライナ支援に大きな役割を果たしてきました。しかし、国内世論の半数以上は「ロシアの勝利」を支持しており、総選挙で第1党の地位を獲得したのは「ウクライナへの軍事支援停止」を掲げるSMERでした。

出典:Matthew McMullin/CC BY-SA 4.0

SMERは42議席しか獲得できず、過半数の76議席には到達していません。そのため、フィツォ元首相はHLAS(27議席)とSNS(10議席)を加えて連立政権を樹立し、首相に立候補する意向を表明しています。また、ウクライナ支援を支持していたHLASも選挙後に立場を修正し、「余剰装備がないためウクライナへの軍事支援は問題にならない」との見解を示しました。

さらに、武器・弾薬の受注分については、「雇用維持に重要だ」と言及しながらも、「それをウクライナに送るかどうか」明言はしていません。ウクライナメディアはHLASの立場変更に注目し、「フィツォ元首相が政権に復帰すればハンガリーのオルバン首相との緊密な協力関係が築かれる可能性が高く、この2人が手を結べばEUの政策に混乱をもたらすかもしれない」とCNNも警戒しています。

主張:Kremlin.ru / CC BY 4.0

なお、SMERに敗れたPSは連立阻止を示唆しながらも「選挙結果を尊重しなければならないものの、フィツォ元首相が権力を握れば国家、民主主義、法の支配、国際的地位、財政、経済の全てで最悪なニュースになる。そのため他の政党と協力するつもりだ」と述べました。しかし、SMER、HLAS、SNS以外の政党が協力しても過半数(71議席)には到達しないため、フィツォ元首相の政権復帰はほぼ確実となりそうです。

スロバキア総選挙、ウクライナ支援停止を主張する親ロシア政党が勝利しました。スロバキアはウクライナへのMiG-29引き渡しを発表し、ポーランドと合わせて計17機の引き渡しを予定しています。ウクライナ支援に積極的なスロバキアですが、国民の半数以上はロシアの勝利を望んでいます。また、スロバキアの計画であるMiG-29の売却についても、国民からの支持は半数止まりです。さらに、スロバキアは155mm砲弾対応の自走砲Zuzana2をウクライナに納品しています。

※アイキャッチ画像の出典:European Council/CC BY-NC-ND 2.0

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