米陸軍、エイブラムスは2040年までにハイエンドの戦場で無力になる

戦争において、戦車は重要な役割を果たしてきましたが、米陸軍科学委員会のレポートによると、エイブラムス戦車は2040年までに機動性、火力、防御力などの強みを失い、戦場での支配力を失う可能性があると指摘されています。

敵のISR能力の向上によりエイブラムスの生存性が低下

敵対者のISR(情報・監視・偵察)能力が大幅に向上しているため、エイブラムスの生存性は低下し続けています。このため、米陸軍は次世代の戦闘車両「Next Generation Combat Vehicle(NGCV)」を開発しています。これにはエイブラムス、ブラッドレー、M113の後継車輌、歩兵旅団戦闘団向けの火力支援車輌、地上無人車輌が含まれています。

エイブラムスの後継車輌に関する要求要件はまだ未定ですが、ジェネラル・ダイナミクスが提案した「AbramsX」も米陸軍のプログラムではなく、同社のデモンストレーターに過ぎません。また、エイブラムスの新しいアップグレード「SEPv4」の開発も進められていますが、開発が本格化するのは2020年代後半になると言われています。

「より積極的なアップグレード」に焦点を当てる

ジェフリー・ノーマン准将は、最近の戦争の研究から「将来の戦場が戦車に新たな課題を突きつけている」と認識していると述べています。そのため、米陸軍はエイブラムスの機動性と生存性を最適化し、将来の戦場でも機能できるようにする必要があると考えています。しかし、エイブラムスの能力を強化することは容易ではありません。重量を増やさずに能力を向上させ、兵站(物資の補給や輸送)の負担を削減する必要があります。

米陸軍科学委員会のレポートによると、エイブラムスの機動性、火力、防御力などの強みは2040年までに失われ、戦場を支配できなくなると予測されています。SEPv3やSEPv4へのアップグレードはエイブラムスの有効性を向上させるものの、失われた優位性を回復させるものではないとのことです。

次世代の戦車の開発に向けた取り組み

米陸軍は次世代の戦車開発に向けて様々な取り組みを行っています。例えば、M113の後継車輌としてAMPVを調達する予定であり、歩兵旅団戦闘団向けの火力支援車輌としてM10 Bookerを調達する予定です。さらに、ブラッドレーの後継車輌の開発や無人戦闘車輌の開発も進められています。

陸軍科学委員会は、戦車以外にも軽戦車や無人戦闘車輌の開発も検討すべきだと主張しています。これにより、戦車と同等の機能を備えた軽戦車や無人戦闘車輌が戦場で活躍できる可能性があります。

結論

エイブラムス戦車の将来性についてのレポートでは、戦場の全領域で敵対者のISR能力が大幅に向上しているため、エイブラムスの生存性が低下し続けていると指摘されています。そのため、米陸軍は次世代の戦闘車両の開発に注力しており、エイブラムスの後継車輌や火力支援車輌、無人戦闘車輌などが開発される予定です。

これにより、将来の戦場での戦車の役割が大きく変わる可能性があります。エイブラムスの能力を向上させるだけではなく、新たな戦闘車両の開発が求められています。

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提供元:日本ニュース24時間

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