「生活できない」埼玉県の“子供留守番禁止条例案”に批判相次ぐ

埼玉県議会9月定例会の開会の様子

埼玉県の自民党県議団が県議会に提出した虐待禁止条例改正案がSNS(ネット交流サービス)上などで波紋を呼んでいることが話題です。その規定は、小学3年生以下の子供を自宅や公園に残して外出することを禁じるもので、「留守番禁止」「放置禁止」という内容です。しかし、これに対して子育て世代を中心に、「現実的ではない」といった疑問の声が相次いでいます。

働く親にとって深刻な問題

改正案には罰則規定はないものの、子供を預ける環境が身近になければ外に働きに行くことが難しくなるため、一人親家庭の人々にとっては深刻な問題と映ります。例えば、「保育園児がいるシングルマザーです。この条例が可決されたら、生活していけません」といった声が上がっています。このように、改正案は一人親にとどまらず、夫婦共働きの家庭にも影響を及ぼすのです。

「『きょうだい育児』もできない」

改正案では、養護者の義務として、小学3年生以下の子供の放置を禁止するだけでなく、同6年生以下についても努力義務としています。養護者は、保護者や保育士、教職員などを指します。しかし、「放置はよくありませんが、一般的な留守番や子供たちだけでの行動に制限をかけることは無茶だ」といった反対意見もあります。この懸念は、保護者が働いているかどうかに関係なく、対象家庭に共通するものです。

埼玉県議会HPには提出した自民党県議の名前が並ぶ

議会では改正案に反対の会派から、「子育て家庭への負担が大きい」という反論が相次ぎました。しかし、福祉保健医療委員会での賛成多数を経て、改正案は可決される見通しです。自民党は「全国初の条例」としていますが、批判の矛先は議員にも向けられています。「一生懸命子育てしている人たちの意見は聞いたのだろうか」といった声もあります。

条例の前に「学童保育拡充を」

不満の中には、子供の受け入れ先が不足している現実にも触れるものがあり、学童保育の拡充を求める声もありました。「共働きをしなければ生活できない世帯も多いこの時代、土台を整備する前に義務を押し付けるのは早計です。まずは家の近くの学童に必ず入れるように整備するべきです」といった意見も出ています。このように、改正案に対する批判だけでなく、解決策を求める声も多く上がっています。

虐待防止の趣旨には理解を示す投稿も見受けられますが、一方で批判の声も多い虐待禁止条例改正案。10月13日の本会議での行方が注目されます。

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