「日本企業の機微技術が外国の狙い目:海外共同開発の参加チケット、日本だけがなし」

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日本の企業が持つ高度な機密技術は、軍事利用を狙う中国などの他国に注目されています。

外国からの要求に抵抗が必要

中国でリチウムイオン電池事業に関わる日本企業は、数年前に中国政府から「国家市場監督管理総局」による情報開示の要求を受けました。行政手続きの際、「独占禁止法の審査のため」として、部品製造に関する機密技術の開示を迫られたのです。

本来ならば不要な情報開示要求に対して企業側は抵抗を示しましたが、当局は力ずくで要求を繰り返しました。最終的には、企業は事業継続のために情報提供に応じることとなりました。

パソコンなどに使用されるリチウムイオン電池は軍事利用も可能であり、政府関係者は「日本に技術的な優位性があるため、中国が狙ったのではないか」と分析しています。

流出ルートの多様さ

機密技術の海外への流出ルートは様々です。中国人留学生を経由したり、日本人研究者を中国側がリクルートするなどの例もあります。

日本カウンターインテリジェンス協会の稲村悠代表理事(39)は昨夏、防衛関連企業から「転職者が情報を持ち出したようだ」と相談を受けました。調査の結果、転職者は防衛装備品の図面を知人の日本人に渡しており、この日本人は関係のある中国共産党の有力者とつながりがあることがわかりました。図面が中国共産党に渡った可能性は否定できません。

共同開発への関与の重要性

機密技術に関する流出への警戒が必要ですが、国内外の信頼できる企業との共同開発も同じく重要です。経済的な安全保障上、その信頼を担保するために「セキュリティー・クリアランス(適性評価)制度」が存在します。しかし、日本には制度がないため、日本企業は多くの不利益を被っています。

日本以外の先進7か国(G7)では共同開発の参加に制限をかける仕組みがあります。デュアルユース(軍民両用)技術に関する海外の学会の多くは「クリアランス保持者のみ」に参加を限定しており、日本人研究者は最新技術に触れることすら許されない現状があります。

国内の一大手製造業は欧米企業とのシステム共同開発を巡って4年間の交渉を行いましたが、頓挫しました。日本に制度がないため、相手企業の機密情報にアクセスする権限がなく、対等な情報共有ができなかったためです。同社の幹部は「早急に制度を整えないと、日本企業は多くのビジネスチャンスを逃すことになる」と危機感を募らせています。

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