国の基準無視、固定資産税算出ミス 還付総額8億円に 岩手・北上市

北上市

岩手県北上市が木造家屋の固定資産税を課税する際、独自のルールを適用し続け、補塡(ほてん)したり追徴したりする必要が出た問題で、誤った課税は1994~2011年度の18年間に計1万7553人に対して行われ、利息を含めた還付される総額は約8億1400万円に上ることがわかった。市が16日の市議会全員協議会で明らかにした。

木造家屋の固定資産税の課税は総務省が全国一律の基準を設けている。自治体は資材や設備を調査して四つの区分に分け、経年で補正することになっています。

ところが、北上市は1991年の市町村合併前から基準を無視し、自動的に特定の区分にして課税額を算出していました。その結果、課税額に誤りが生じていたのです。

市によると、還付の対象は個人1万6987人、法人566。還付額は計約4億341万円で、利息相当額は計約4億1081万円に上ります。還付される最高額は612万700円で、平均は4万6387円でした。

北上市は11月に市議会に提出する補正予算案に計上する予定です。対象者には12月から通知を始め、来年1月以降に支払いを行います。

八重樫浩文市長は「多大なるご迷惑をお掛けし、おわび申し上げたいと思います。もっと早くできなかったのかということは確かにあるが、限られた職員でギリギリの態勢で取り組んできました。幹部も含めた職員の意識をしっかりしたい」と述べました。

内部告発の職員に公益通報取り下げ要求

この問題への市の対応は時間がかかりました。担当職員が不自然さに気づいても問題意識は共有されず、16年には内部告発した市職員に対し幹部が「あなたがやってきたことでしょう」などと公益通報の取り下げを求めました。市議会で何度も指摘されても、市は「裁量の範囲内」と突っぱね続けたのです。

しかし、市議会での追及が続き、市民からの問い合わせも増え、市は2021年12月に「考えを改めた」と表明しました。差額を算定する精算を進めていたのです。

一連の問題を追及してきた高橋孝二市議は「職員の内部通報を隠蔽(いんぺい)したうえ、これほど多額の誤りを生じさせた責任は重大です。市民の信頼を回復するため、具体的な再発防止策を明示するべきだ」と訴えています。

一方、市はこの日、21、22年の保育料の算定でも誤りがあったと明らかにしました。市民税のデータがシステムと正しく連携していなかったとして、園児17人に計約51万円を還付し、3人から計約23万円を追加徴収するとのことです。

朝日新聞社

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