元サムスン社員、う回就職の疑いで転職禁止…技術保護の色彩強まる韓国の法律

サムスン電子会長 李在鎔の訪問
(写真:朝鮮日報日本語版)

最近、韓国の裁判所によって、サムスンディスプレイが昨年退社した元社員A氏に対して起こした転職禁止の仮処分申し立てが認められました。A氏は2008年からサムスンディスプレイで働き、有機発光ダイオード(OLED)生産のための工程開発業務グループ長としての経歴を持っています。昨年1月に退社する際に、A氏と会社は2年間の転職禁止条項を盛り込んだ誓約書を交わし、約8700万ウォン(約961万円)の約定金を支払っていました。

しかしながら、A氏が昨年8月に中国の小型医療用レーザー治療機器メーカーに就職すると、サムスンディスプレイ側はこれを問題視しました。A氏が就職した企業は資本金1000万元(約2億1000万円)で従業員数はわずか7人であり、サムスンディスプレイのライバルとは言いがたい状況です。しかし、サムスンディスプレイ側はこれを「う回就職」と主張し、裁判所もその可能性があると判断しました。つまり、退社後に即座にライバル会社に就職しなくても、転職禁止契約は有効だとしたのです。

韓国政府と国会は、先端技術を巡る国家間競争の激化に伴い、産業技術流出犯罪を厳しく処罰するための関連法と制度を整備しています。その結果、裁判所の判決もますます技術保護主義の色合いを帯びるようになっています。以前はライバル企業とは見なされていなかった企業であっても、会社と退職者が結んだ転職禁止契約については「う回就職」の可能性を認める判決が出されるようになったのです。

後発企業にも転職禁止… 裁判所が速やかに効力認定

今年6月、ソウル中央地裁はサムスン電子が米国のマイクロンに転職した元研究員B氏に対する転職禁止の仮処分申し立てを認めました。B氏は1998年にサムスン電子に入社し、24年間にわたりDRAM設計業務を担当してきました。彼は2018年からは核心技術情報へのアクセス権限を与えられていました。昨年4月に退社し、その後はマイクロンの日本支社で働き、今年4月からは米国本社で勤務しています。

サムスン電子はB氏に対して特別インセンティブや1〜2年分の年俸に相当する転職禁止約定金を提案しましたが、B氏はこれを断りました。彼は自身が報酬を受け取っていないと主張し、転職禁止約定は無効であると主張しましたが、裁判所はこれを認めませんでした。裁判所は「DRAM技術は国家の核心技術であり、一部の制限は職業選択の自由を制約しても公共の利益がある」と判断し、2年間の転職禁止は妥当であると判断しました。

法務法人ファウパートナーの弁護士、李光旭氏はこの判決について、「サムスン電子やSKハイニックスが業界3位のマイクロンに転職する場合、仮処分を申し立てることはあまりなかったと聞いていますが、今は後発業者だとしても市場を奪われる恐れがあれば、敏感にとらえているようです。さらに、裁判所は国外送達(裁判所が利害関係者に書面を送る形式的な行為)を非常に迅速に行い、決定も比較的早く下しています」と話しています。

ソースリンク: https://news.yahoo.co.jp/articles/9068bdda90d979d7c707fe8178a5d307e96088dd

(記事・画像:日本ニュース24時間 / ソースリンク:日本ニュース24時間)